値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせて検証

2010/12/01 19:30

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グラフ化総務省統計局は2010年11月30日、家計調査の家計収支編・二人以上の世帯における2010年10月分を発表した。その中で特異データとして、同年10月に実施されたたばこ(税)の値上げに関し、たばこの支出金額の推移の解説が別枠で行われている。今データには直近も含めて過去3回における、たばこの値上げ前後での家計のたばこ代の推移が提示されており、非常に興味深い内容となっている。今回はこれをグラフ化すると共に、今回の値上げによる今後のたばこの売上推移を推測する(【該当ページ】)。



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速報値によれば2010年10月の二人以上の世帯における平均消費支出は28万7433円。前年同月比で実質(物価変動考慮)0.4%の減少となっている。これにはたばこ代以外にも自動車の購入なども減った影響が大きい(エコカー補助金の終了などによる)。

たばこそのものの値上げに直結するたばこの増税だが、直近の2010年10月は1本当たり3.5円、2006年7月は1本あたり0.852円、2003年7月は1本あたり0.82円の増税が実施された。たばこの全体的な売上本数の動向は直近3年分においては、2010年10月の値上げ後初月では前年同月比でマイナス69.9%という大きな減退を見せている。

↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(億本)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(億本)(再録)

今回発表された統計局のデータによる、2003年7月・2006年7月・2010年10月の過去三回のたばこ値上げ前後における、二人以上の家計におけるたばこ支出額の推移は次の通りとなる。いずれにおいてもたばこ値上げ直前に「買い溜めによる支出増加」値上げ直後に「買い溜め分の消費や買い控えによる支出減少」が確認できる。

↑ たばこ支出金額(円、二人以上世帯)
↑ たばこ支出金額(円、二人以上世帯)

↑ 対前年同月実質増減率
↑ 対前年同月実質増減率

税率の上げ幅が4倍になったから、そのまま値上げ直前の買い溜めによる増加率が4倍、値上げ直後の買い控えなどによる減少率も4倍となるわけではない。実際それぞれの値上げ直前の支出額増加分(前年同月比)を見ると2003年は+63.3%、2006年は+48.6%、2010年は+45.0%となっており、増加率そのものはむしろ2010年の方が減っている(たばこ単体の価格が上昇しているのが一因)。

しかし値上げ直後の減少率を見ると、2003年は-39.2%、2006年は-45.0%、2010年は-69.7%で、減少率はむしろ2010年の方が大きい。これは値上げ幅そのものが大きかったことに加え、【値上げの影響で禁煙した喫煙者15.8%】にもあるように、値上げをきっかけに禁煙した人が多いことを示唆している。

過去二回の値上げでは、値上げ後に前年同月近くの水準に戻るのに3-6か月の期間を要している。今回の値下げによる減少では勢いが大きいことを考慮すると、少なく見積もっても半年はかかるものと容易に推測できる。場合によっては低い水準のまま、来年夏を迎えてしまう可能性もある。たばこの売上に大きな影響を受けるコンビニなどでは、今後しばらくは辛い時期が続くだろう。



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