「法テラス」 知ってる人は1割強
2010/11/27 12:00
内閣府は2010年11月25日、地方消費者行政に関する特別世論調査の結果概要を発表した。それによると2010年10月時点で消費生活センターを知っている人は8割強、国民生活センターは6割強であることが分かった。一方法テラスは2割足らずしか認知度が無く、前回類似調査より認知度が下がっていることが確認できる結果が出ている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2010年10月14日から24日にかけて、調査員による個別面接聴取方式によって20歳以上の人に対して行われたもので、有効回答数は1981人。男女比、年齢階層比は非公開。
現在消費者が購入した商品やサービスで被害や事故があった場合に、苦情相談を受け付け消費者に必要な情報を提供している窓口(消費生活相談窓口)は、その役割の違いに対応すべく複数存在する。
「消費生活センター」……消費生活全般に関する情報提供、苦情相談などを行っている、地方公共団体が設置している行政機関。なお、地域によって呼び名が異なる(-消費生活センター、-消費生活相談室、-消費生活相談コーナーなど)。
「法テラス」……相談の内容に応じた法制度紹介や専門的に相談できる関係機関の案内を行う法人。
この主要三機関に関する認知度(知っているか否かのみ。内容を把握しているか否かは問わない)を確認した結果が次のグラフ。消費生活センターの認知度が一番高く81.7%、次いで国民生活センターが63.9%の順となっている。
↑ 消費生活相談窓口の認知度
2008年10月の類似調査の数字は「名前は知ってる・活動内容までは知らない」「名前も活動内容も知っている」を足したもの、さらに法テラスは2009年1月の時の調査結果だが、今件が単に「知っているか否か」だけを聞いていることから、ほぼ同じ設問と判断して同じグラフに載せた。消費生活センターはやや認知度が上がり、国民生活センターは横ばい、そして法テラスは大きく認知度を減じているのが分かる。
法テラスは【「法テラス」への問い合わせ、開始一か月で3万2760件】でも解説したように立ち上げ時には大きな期待が寄せられた。しかしあくまでも「窓口」でしかなく具体的な解決方法のアドバイスなど法律相談は行えない、個別の弁護士などの紹介はできないこともあり、肩すかしを受けた人が少なくないようだ(【総合法律支援に関する世論調査(2009年1月)】)。
消費生活相談窓口に相談すれば状況が改善するような出来事が起きても、その存在を知らなければ相談できるはずもない(ガソリンが底を尽きそうで、すぐそばにガソリンスタンドがあっても、その場所に疎くてスタンドの存在を知らなければ利用できないのと同じ)。まずはこれら相談窓口においては、どのような事に対応しているのかも含めた、より一層の周知が必要とされる。そして特に「法テラス」においては、昨今諸般状況で「弁護士」という「サムライ業」の権威が急激に損なわれる状況にあることからも、存在意義が疑われることのないよう法令の範囲内で、ニーズに応じた変革が求められよう。
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