業務用パソコンの持ち出し、あり? 無し??
2010/11/29 12:00
ライフネット生命保険は2010年11月24日、ビジネスパーソンの携行品に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、勤務先で業務用のノートパソコンの持ち出しが禁止されている人は8割近くに達していた。また、そのような禁止措置については全体で7割強、持ち出しを許可されている会社の人でも4割強が「賛成」していることが分かった。ノートパソコンの出先での紛失事件が相次いで報じられる中、リスクを減らす意味で、多少不便でも「原因そのものを創らない」考えが浸透しつつあるようすがうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査は2010年10月18日から20日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で20-39歳の正規雇用有職者に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、年齢階層比は20代前半・後半、30代前半・後半の4区分で均等割り当て。
業務用に用いるノートパソコンは、その機動力を活かして社内だけでなく社外でも利用することができる。しかし社外に持ち出すと、破損以外にも置き忘れ・盗難などによる紛失リスクが生じる。単純に本体そのものの損失だけでなく、内部に収められている各種情報の流出リスク・被害は極めて大きく、上場企業ですら月に一度か二度の割合で「顧客情報の入ったノートパソコン紛失の件について」などというタイトルで、おわびのリリースが流される程。
今調査母体では、所属する企業の77.8%が持ち出しを禁止しており、許可されているのはわずか22.2%に過ぎなかった。
↑ 勤務先で業務用ノートパソコンの持ち出しは許可されているか
中には持ち出し専用の端末を別途用意する企業もあるだろうが、全般的には「持ち出しは一切不可」というところが多いはず。当然、出先での作業では不便を覚えることが予想されるが、リスクの大きさを考えればベターな方策であるのは間違いない(もちろん個々の企業別の事情も考慮することはいうまでもない)。
ではこのような、全般的なレベルにおいての「業務用のノートパソコンの持ち出しは禁止」という風潮をどう思うか。自社では許可されている・自社でも禁止されている、それぞれの立場の人に区分した上での回答の結果が次のグラフ。やはり自社で許可されている人は、「持ち出し禁止」は勘弁願いたいという意見の方が多い。
↑ 企業の「業務用ノートパソコンの持ち出し禁止」に賛成か反対か
しかしながら「自社ではOK」という人でも45.5%は「持ち出し禁止」に賛成をしている。自分自身も持ち出しする機会がある人でも、リスクの大きさを考えると「一律禁止した方が安全かもな」という想いを抱いている事が分かる。自分自身は大丈夫、と思っていても、自分の同僚、先輩、後輩がミスを犯す可能性、そして事態が生じた時のダメージの大きさを考えると、ということなのだろう。
情報は元の形をそのままにした状態で、いくらでもコピーされてしまう。そのため情報の漏洩は、パソコン本体の物理的損失とは比べ物にならないほどの大きな被害となる可能性を秘めている。しかもどれだけ盗難被害を受けたのか、盗られた本人には見当もつかないのだから余計にタチが悪い。
トラブルの可能性をゼロにすることは難しいが、極力低くすることはできる。その手立ての一つとして、持ち出しそのものを許可しない方策は、シンプルで誰にでも可能な、そして極めて有効なやり方といえる。代替案が必要な企業も多いだろうが(本文中で触れたように持ち出し専用機を別途用意して、そこには必要最小限のデータしか取り入れない)、まだのところは是非とも検討してほしいものだ。
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