8月の時点で正社員労働力は均等、パートタイムは不足気味(2010年8月)
2010/11/17 12:00


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今調査は2010年8月1日から6日にかけて同年8月1日の状況について、調査票郵送報告方式・インターネット利用のオンライン報告方式の併用で実施されたもので、対象は事業所規模30人以上の全国の民営事業所5835か所。回答事務所数は3303か所。
それによると労働力の過不足については前回からやや改善された形となり、「正社員」は全体的な需給としてはトントンの域、「パート」は相変わらず不足気味であることが分かる。次のグラフはそれぞれの業種における「正社員」「パート」それぞれの労働力が過剰(余り気味)・不足(足りなさげ)な事務所の割合を算出した上で、「不足事務所」から「過剰事務所」を引いた値。この値がプラスな業種ほど、該当労働力が不足しており(人材をどんどん募集したい)、マイナスが大きくなるほど労働力が余り気味(人材をむしろ減らしたい)であることを示す。

↑ 労働者過不足判断DI(2010年8月)(不足事務所割合-過剰事務所割合)

↑ 労働者過不足判断DI(2010年5月)(不足事務所割合-過剰事務所割合)(再録)
せっかくなので前回記事の2010年5月時点のグラフも併記するが、「医療・福祉」「運輸業・郵便業」「生活関連サービス業、娯楽業」などの人員不足、「サービス業」「卸売業・小売業」のパートタイム労働者に限った不足、その他は全般的に「労働力は余り気味」な状況はほとんど変わらない。また、「医療、福祉」の不足度はやや不足感が改善されたこと、他事業の過不足が「過剰から不足」に移行しているのに対し、「宿泊業、飲食サービス業」の上昇率が大きめなことが確認できる。
全体的な「過不足判断DI」の経年推移を見てみると、いわゆる2007年夏の「サブプライムローンショック」で「パートタイム労働者」への雇用調整が始まったこと、「リーマンショック」で大きな打撃が起きたことが把握できる。また、「パートタイム労働者」が2009年初頭のプラスマイナスゼロあたりで底打ちしたのに対し、「正社員」はさらにキツいカーブを描いて下落、2009年夏あたりでようやく復調の兆しが見えてきたことなども分かる。

↑ 労働者過不足判断DI推移(過剰事務所割合-不足事務所割合)
「正社員など」の6期連続マイナスの間はパートタイム労働者の横ばいの時期とほぼ重なり、その後もほぼ並行した動きを見せているため、パートタイムが雇用の調整を果たしているとも考えられる。そして今回計測月でようやく「正社員」がプラスマイナスゼロの域に移行し、これから「正社員が不足しているので雇用枠を増やしたい」という企業が増加してくることが期待できる形となっている。
だがその一方、「景気ウォッチャー調査」の動向を見ると、上昇は直近ではこのちょうどこの時期が上限を指しており、この数か月は下落傾向にあることを示している。【発表予定一覧】によれば、11月分の調査結果が12月上旬には発表されるとのことなので、来月にでもあらためて最新のデータを元にグラフ作成と分析を行うことにする。「正社員など」の値がプラスに転じているか、あるいは再びマイナスに移行するのか、非常に気になるところだ。
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