iPhoneやiPadの利用者は電子書籍の購入経験率が高め・iPadは4割強に達する

2010/10/31 12:00

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iPadビデオリサーチは2010年10月29日、デジタル雑誌(電子書籍)に関するインターネットリサーチの結果を発表した。それによると調査母体においては、デジタル雑誌の購読経験者は17.3%に達している事が分かった。男女別では全般的に男性の方が、機種別ではスマートフォンやタブレットパソコン(PC)の方が高い割合を示している(【発表リリース】)。



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今調査は2010年8月20日から9月6日にかけて15-69歳の男女にインターネット経由で行ったもので、有効回答数は11万2019人。男女比は6万人対5万2019人、年齢階層比は15-19歳が2582人、60代が1万3704人でやや少なめ、あとの10歳区分はほぼ均等。

電子書籍の利用比率については先日【電子書籍利用者約25%、そのうち7割強は「今後紙の本を主に利用したい」】で触れたばかりだが、今件は質問の上で「所有している機器でデジタル雑誌をご自身で購入して読んだことがありますか」とあり、広義での「購読」ではなく狭義の、つまり「買って読んだ」人の割合を示している。それによると全体では17.3%と、2割近くの人が「お金を支払って電子書籍を読んだ経験があると回答している。

↑ 自分の持っているネット接続機器で電子書籍を「購入して」読んだことがあるか
↑ 自分の持っているネット接続機器で電子書籍を「購入して」読んだことがあるか

パソコンだけに限ると支払い方法がやや面倒だが、モバイル端末なら支払い部分が簡素化されている場合も多いため、想像されている以上に「有料サービス利用者」がいることが分かる。

男女別では男性の方が多いのがひと目で分かる。また年齢階層別では10代が少なく、20代が多め。前者は支払い決済手段を保護者から与えられていない場合や、可処分所得そのものが少額なところに起因し、後者は電子出版やネット経由の買物に慣れていることなどがその理由だろう。男性50代の値がやや高めなのが意外だが、別項目データで確認すると、スマートフォン以外の携帯電話や、デスクトップ・ノートブックのパソコン利用者による購読が50代男性に多い。この層の琴線に触れる電子書籍が展開されたのかもしれない。

さて、このデータを所有機種別で区分したのが次のグラフ。こちらもまた興味深い結果が出ている。

↑ 自分の持っているネット接続機器で電子書籍を「購入して」読んだことがあるか(所有機種別)
↑ 自分の持っているネット接続機器で電子書籍を「購入して」読んだことがあるか(所有機種別)

全体としては17.3%だったが、通常の携帯電話ではその半分程度、デスクトップやノートなどのパソコンでもそれ以下で、いわゆる新興系モバイル端末によって全体値がかさ上げされていたことが分かる。特に大きな値を占めているのが、iPhoneとiPadなどのタブレットPC。とりわけ後者は、半ば「電子書籍の黒船」的な扱いで日本に紹介・展開された面もあるためか、利用率が極めて高い(【「ジャンプSQ.19」創刊号、丸ごとiPadで無料配信・最新号とのセットも450円で提供へ】のような話も記憶に新しい)。



現時点においては電子書籍の認知が浸透しはじめた程度で、流通機構も展開フォーマットもばらばら、出版社の対応もまちまち。さらに新刊への対応もほとんどなされていないこともあり、電子書籍のメリットはさほど大きくない。しかし在庫切れが無い、在庫保存コストがほとんどゼロ(データ保存と管理費くらい)、修正・編集も容易、検索機能で読者に探してもらえる可能性も高くなるなど、メリットは多い。

紙媒体のニーズは引き続き存在するので紙による雑誌や書籍が無くなることはありえず、一方で「書を楽しんでもらい、世に広めていく」という視点で見れば、電子書籍の普及は出版業界にとっても必要不可欠どころか、最重要課題ともいえる。今後利用者がさらにメリットを享受し、利用検討者のハードルを低くするべく、関係各方面は努力まい進を続けてほしいものだ。



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