本の入手は大型書店とネットで
2010/10/30 06:33
iMiリサーチバンクは2010年10月27日、読書に関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち読書をする層において、ふだん読む本を入手する場所としてもっとも多くの人が利用しているのは「総合的な品ぞろえの大型書店」だった。54.6%が大型書店を利用していると答えている。次いでインターネット通販、図書館と続き、個人営業が多い「近所の小規模な書店で」は1/4程度の回答率でしかない(【発表リリース】)。
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今調査は2010年10月16日から21日にかけてインターネット経由で10代から60代の男女に対して行われたもので、有効回答数は1200人。男女比、10歳区切りの年齢階層区分で均等割り当て。
調査母体においては冊数を別にして、普段読書をする人の割合は92.7%に達していた。その人たちに、普段読む本をどこで手に入れるかについて、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。インターネット経由の調査ではあるが、トップには「総合的な品ぞろえの大型書店で」がついた。
↑ ふだん読む本はどうやって入手するか(普段読書をしている人、複数回答)
【書店数、確実に減少中…書店の減り具合】や【書店数と売り場面積推移(2010年10月版)】などで解説しているが、実店舗の書店は採算性の問題などから「数は減少」「規模は大型化」の傾向にある。大型店舗なら一種アトラクション的な楽しみも提供できるし(「場」「環境」の提供)、品揃えも豊富なものとし、お客に無駄足を運ばせない可能性を高められる。いわゆるスケールメリットというものだ。利用者側もそのメリットを認知しており、大型書店で購入しているのだろう。
次点はインターネットでの購入。大型店舗のように「買ったその場」で「リアルな書籍が手に入り」「すぐ読める」わけではないものの、ネット通販では書店まで足を運ぶ必要性がないし、品揃えは大型店舗と同様かそれ以上。他人が勧める書籍もすぐにチェックできる。他の商品群同様、ネット通販で大きく購入性向が変わったのが本・書籍といえる。
一方「近所の小規模な書店で」は図書館の次、26.4%でしかない。直上で「大型店舗への来店・購入メリット」について触れたが、小規模書店ではリアル書店によるメリットを比較すると、大規模書店に叶わない点がいくつもある。さらに「近所の小規模書店」で購入したくとも、そのような書店自身が無い場合も少なくない。回答率が1/4程度しか無いのは、「買いたくとも店が無い」という事情が多分にあるのだろう。
インターネット経由の調査ということもあり、幾分ネット関連に有利な数字が出ている可能性はあるが、それでも今件は「大規模書店の優位性」「ネット通販の立ち位置」「本を購入する際の小規模書店の順番」が改めて把握できる結果といえる。また、書籍販売数の減少の一環といわれている、「立ち読み」「マンガ喫茶」の類はそれほど影響が無い事も分かる(回答時に遠慮している可能性もあるが)。
今後さらに実店舗書店の集約化は進み、インターネット通販は便利になっていく。そして電子書籍も浸透していくに違いない。5年後、10年後において、本・書籍の販売スタイルはどのような形に変化をとげているのだろうか。
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