30代前半の働き人、6割台は転職経験あり(最新)

2020/01/16 05:21

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2020-0105実際には個々の環境によるところもあるが、一般的には高学歴で就職をした人の方が、離職率は低いとの統計結果が出ている(例えば厚生労働省の若年者雇用関連データを基にした記事【学歴別・就職後の離職状況】がよい裏付け)。今回はその実態を、厚生労働省が2019年12月18日に発表した、2018年時点における若年層(15-34歳)の雇用実態を調査した結果「平成30年若年者雇用実態調査結果の概況」から確認していくことにする。調査時点で就業している人に限られるが、学歴や年齢階層などで、最初に勤めた会社から離職した人の割合(現在就職している人が回答しているので転職率でもある)はどのように異なるのだろうか(【発表リリース:平成30年若年者雇用実態調査の概況】)。



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今調査の調査要件、各種用語の意味については先行記事【若年労働者の割合など】を参考のこと。

個人の諸般事情がある場合(資格取得のための腰かけ的就業や、家業を継ぐ予定があるためにそれまでの就業など)は別にして、多くの人は初めて勤めた会社に一生勤務し続けたいと考えている。また、非正社員はともかく正社員を雇用する企業側も、企業自身が継続する限り、定年退職まで雇用し続けるつもりで新人を雇い入れる。だからこそ定年規定や退職金規定が存在する。しかし現実には働く側、あるいは企業側の事情により、最初に就職した企業から離職せざるを得ない人は少なくない。

今調査では調査対象母集団の5割近くが「最初勤めた会社には今現在は勤務していない」と回答している。若年就業者(15‐34歳の就業中の人)で限っても、これほどまでの離職経験率の高さが出るとは、正直驚かざるを得ない。

↑ 卒業後に初めて就職した会社に現在は勤務していない若年就業者割合(調査時点で在学していない人限定、属性別)(2018年)
↑ 卒業後に初めて就職した会社に現在は勤務していない若年就業者割合(調査時点で在学していない人限定、属性別)(2018年)

男女別では女性の方が値が高い。これは最近ではあまり聞かれなくなったものの、各種出産関連の統計でも少なからず確認できる、寿退社、出産のための退社が影響しているものと考えられる。

年齢階層別に見ると、当然ながら年が上になるに連れて「最初に勤めた会社からは退社した」人の割合は高くなる。しかし10代でもすでに1割強が離職を経験している。そして30-34歳になると64.1%にも達する。つまり「現在働いている30-34歳の人の3/5以上は転職を経験している」ことになる。これが自らの意志によるものか、あるいは会社都合によるものかまでは今数字からは読みとれないが、「終身雇用」との言葉は少なくとも若年層では、事実上終結を迎えつつあると考えてもよい。

学歴別では高学歴者ほど会社内での立ち位置が安定的なことがうかがえる。最終学歴が中学卒の就業者は実に8割台が転職を経験している。それに対し大学卒では3割台、大学院卒では2割台に留まっている。もっとも高校卒・専修学校修了・高専や短大卒では大きな違いが出ずに5割台に留まっているのは興味深い。

正社員か非正社員(最初に就職した会社での就業形態)かでは正社員だった人よりも非正社員の方が離職率が高い。就業年数まではこのグラフでは考察できないが、単純計算で「初めて勤めた会社に対する離職率は、非正社員では正社員の2倍以上」であることが見て取れる。



別途改めて精査するが、最初に勤めた会社を離職する理由は多様で、しかも複数にまたがっていることが多い。総計では「労働条件がよくない」「仕事が合わない」など、ハードな仕事に耐えきれなくて職を離れる場合が多い。ただし「はじめから想定していたが実践してみると想定以上だった」のか、「これほどまでに辛いのは聞いてなかった・思ってもいなかった」なのか「勤めていくうちに段々と辛くなって、限界を超えた」なのかは不明である。また「人間関係がよくなかった」ことを理由に挙げる人も多い。

ともあれ、本人の事情・意志以外による離職は、生活基盤をはじめとする多種の立ち位置(社会的、経済的、精神的…etc.)を危うくするもの。もう少し定着率を高めることができれば、世の中はその分だけよくなるはずなのだが。


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