卒業後1年の間に正社員になれなかった人、最大の理由は「元々正社員を希望していなかった」(最新)

2026/07/02 02:26

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2026-0617非正(規)社員として働いている人がその立場にいる理由としては、自らその立ち位置を望んだ人もいれば、病気やけがでフルタイムの就業が難しかった人、また正(規)社員としての就職を望んだが果たせなかった人など、多様なパターンがある。そこで厚生労働省が2024年9月5日に発表した、2023年時点における若年層(15-34歳)の雇用実態を調査した結果「令和5年若年者雇用実態調査結果の概況」を基に、現在働いている若年層のうち、卒業してから1年の間は非正社員として働いていた人が、どのような理由でその立ち位置にいたのを確認していくことにする(【雇用の構造に関する実態調査(若年者雇用実態調査)】)。

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今調査の調査要件、各種用語の意味については先行記事【社内若者や非正社員は何%? 若年労働者の割合など(最新)】を参考のこと。

今調査対象母集団のうち最後の学校を卒業してから1年間において(「新卒」扱いされる期間)、正社員として勤務した人は76.2%、非正社員としては19.2%の人が該当する。卒業後1年間は無職だった人も4.2%確認できる(他に「不明」が0.4%)。調査対象母集団は現在就業している人なので、その無職期間の後に就業を果たしたことになる。

↑ 最終学校卒業から1年間の状況(調査時点で在学していない人のみ)(2023年)
↑ 最終学校卒業から1年間の状況(調査時点で在学していない人のみ)(2023年)

そこで非正社員の19.2%の人に、非正社員として就職した理由を1つ挙げてもらったところ、もっとも多かった回答は「元々正社員を希望していなかった」だった。次いで「正社員求人に応募するも採用されなかった」「希望条件に合わなかったので正社員として就職しなかった」が続いている。

↑ 最終学校卒業から1年間、正社員以外の就業者として就職した若年就業者の非正社員として就業した理由別割合(調査時点で在学していない人限定)(2023年)
↑ 最終学校卒業から1年間、正社員以外の就業者として就職した若年就業者の非正社員として就業した理由別割合(調査時点で在学していない人限定)(2023年)

「元々正社員を希望していなかった」とは、あきらめた・何か別の目的があって身動きしやすい非正社員の道を選んだ・非正社員の方が自分のやろうとしている仕事に合っているから・時間の融通が利きやすいなど、さまざまな理由が考えられるため、一概に「やる気が無い」と断じることはできない。いずれにせよ、働き人としての立ち位置としては非正社員よりはるかに優遇される正社員にならなかった理由は多様。そしてそれぞれの理由の割合の多い少ないが、現在の就労市場の状況を表しているともいえる。

「就職活動はした」「しかし会社側に何らかの責がある形で正社員にはならなかった」に該当する項目を合わせると18.2%+12.9%+12.3%=43.4%。終身雇用制が形骸化しつつはあるが正社員として雇用された以上、長期間同一企業に就労をすることになる企業へのアプローチなのだから、慎重に選ぶのは当たり前の話ではある。とはいえ、その結果として「正社員になれなかった・ならなかった人」の4割強が「正社員としての就活に失敗した結果」というのは少々辛いデータと見ることもできる。

これを各階層別にみると、それぞれの属性別の事情が見えてくる。

↑ 最終学校卒業から1年間、正社員以外の就業者として就職した若年就業者の非正社員として就業した理由別割合(調査時点で在学していない人のみ、属性別)(2023年)
↑ 最終学校卒業から1年間、正社員以外の就業者として就職した若年就業者の非正社員として就業した理由別割合(調査時点で在学していない人のみ、属性別)(2023年)

男女の差異はあまり無い。やや女性の方が「正社員求人に応募するも採用されず」「希望条件に合わなかったので正社員として就職しなかった」が多く、男性の方が「元々正社員を希望していなかった」が多い程度。大きな違いが見られるのは最終学歴別の部分。大まかに実情を箇条書きにすると

・おおよそ高学歴ほど「正社員求人に応募するも採用されず」割合が増える
・大学院修了に限ると「希望する会社で正社員の募集が無かった」が3割近く。大学院修了レベルの技能を持つ人材を受け入れる企業で求人枠が少ないことがうかがえる。

・おおよそ高学歴ほど「元々正社員を希望していなかった」の値が小さくなる。

・「家庭の事情」は中学卒や高校卒、専修学校修了に多い。

などが挙げられる。

中学卒、高校卒、専修学校修了までは、家庭の事情による正社員就業を果たせない場合も多い。具体的にどのような事情までかは資料には無いものの、厳しい状態に置かれていたことが想像できる。



冒頭部分で今件項目にて「最後の学校を卒業してから1年間において(「新卒」扱いされる期間)」と表記を用いたが、新卒者の就職環境の厳しさを受けて雇用対策法第7条・第9条に基づく厚生労働大臣による「青少年雇用機会確保指針」(青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針)が改正され、卒業してから3年以内の既卒者を新卒扱いすることを各企業に要請している(【3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!!(厚生労働省)】)。罰則規定はないものの、「事業主の皆様には、本指針の趣旨をご理解いただき、最大限尊重していただく必要があります」と関連文面には記載されており、企業側としては極力遵守することが求められている。

今件データを見るに、正社員としての就業を希望していたが果たせなかった、特に「応募したが採用されず」「希望企業で正社員求人が無い」の回答率が高い高学歴の非正社員にとっては、3年以内の新卒扱いの指針は、願ってもないことかもしれない。一方で「就職先の受け入れ許容量は変わらない」のならば、「本来の新卒は同年齢以外に1年前・2年前の新卒者が『新卒枠』のライバルになる」をも意味する。雇用情勢の改善には、雇用口の拡大(=企業の経営状態の改善、景気上昇)が何より欠かせない。


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