「正社員で入社・今も正社員」は6割近く…卒業後1年間と今現在の働き方の相違

2010/10/26 07:17

このエントリーをはてなブックマークに追加
卒業後の就職厚生労働省が2010年9月2日に公式サイトで発表した、2009年時点における若年層(15歳-34歳)の雇用実態を調査した結果「平成21年若年者雇用実態調査結果の概況」(【平成21年若年者雇用実態調査結果の概況:該当ページ】)には、各企業での若年層の雇用状況などを把握し、各種若年者雇用対策の資料として用いるための、多種多彩なデータが盛り込まれている。当然、現状の雇用情勢の一端を知る、有意義な内容となっているのは言うまでもない。今回はその中から、「卒業してから1年間」「今現在」それぞれの就労状況について、個人個人がどのような変化を見せたか・維持したかに関するデータを抽出し、グラフ化して、状況を把握することにした。



スポンサードリンク


調査概要、及び言葉の定義については先行する記事【自分の収入だけで生活している若者は44.0%…若年労働者における「生計状況」】で詳しく説明しているので、そちらを参考にしてほしい。

さて、調査母体全体としては正社員で入社が出来た人は71.2%。そして「今現在も」正社員を継続できている人は57.9%という結果が出ている。逆算すると「正社員で入社した人の2割近くは、現在正社員以外の立場にある」ということになる。

↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)

卒業時は非正社員、あるいは無職だった人で、現在正社員の人も9.9%いるが、逆に正社員だった人で現在非正社員は13.3%。さらにこのグラフには含まれない、「正社員で入社し、現在無職の人」も少なからず存在するはずなことを考えると、正社員としての雇用市場が縮小化している感は否めない。

これを性別・年齢階層別で見たのが次の図。

↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(年齢階層・性別)
↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(年齢階層・性別)

女性に「卒業後正社員」「現在非正社員」が多い(19.2%)は、結婚なり妊娠で一度離職し、状況が落ち着いた後にパートやアルバイト、契約者員などで再就職している事例が多いからだと想像できる。また、年齢階層と共に「卒業後正社員」「現在非正社員」が多いのも一部は女性のその理由、もう一つは正社員で入社したものの何らかの理由で解雇され・辞職し、他の職場で非正社員として働く事例が想像できる。



元データには最終学歴別のデータも添えられているが、他の記事やデータと合わせて検証する必要がありそうな結果が出ているので、今回は取り上げず、別の機会に譲ることにする。

いずれにせよ今後は若年層の雇用市場がますます悪化することが容易に予想されるため(働き口の海外移転や、高齢者の低賃金による再就職で求人が奪われる可能性)、若年労働者の非正社員問題はさらに大きなものとなる。自ら望む人はともかく、正社員を望む人たちの一人でも多くの人が、その希望がかなえられるような、「これから」を創る若年層達を見据えた政策を切に願いたいものだ。



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS