41.8%は「正社員を希望」…非正社員な若年労働者の希望就労(最新)
2020/01/15 05:32
就業形態の区分の一つに正(規)社員・非正(規)社員との考え方がある。雇用者によってフルタイムで半永久的に、あるいは定年まで雇用期間を定めずに雇われる雇用形態にある社員のことを正社員と呼び、それ以外を非正社員と呼ぶが、非正社員の方がその職における安定性は低く、賃金も低めに抑えられることが多い。そのため、非正社員の多くは自ら望んでその立場についたのではなく、可能ならば正社員として雇われたいとの願望を抱いているとの世間的なイメージがある。それはどれほど正しいのが、厚生労働省が2019年12月18日に発表した、2018年時点における若年層の雇用実態を調査した結果「平成30年若年者雇用実態調査結果の概況」から、実状を探ることにする(【発表リリース:平成30年若年者雇用実態調査の概況】)。
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今調査の調査要件、各種用語の意味については先行記事【若年労働者の割合など】を参考のこと。
最初に示すのは、調査母体全体のうち非正社員のうち調査時点で在学していない人(つまり学生アルバイトではなく、主業として非正社員の立場で就業している人)に対し、今後どのような働き方を望んでいるかを尋ねた結果が次のグラフ。41.8%が「今後は正社員として働きたい」と回答している。
↑ 今後の働き方別非社員の若年就業者割合(調査時点で在学していない人のみ)(2018年)
現在就労している会社か否かは別として、非正社員の立場のままで働き続けたい人は3割程度でしかない(詳しくは「現在の会社で」は25.4%、「別の会社で」は5.4%。非正社員の立場を望む人は、勤める企業そのものも合わせ、現状維持を望む声が大きい)。残り1/4強は独立事業・家業引き継ぎ、その他個々人のさまざまな理由による。
これを個々の属性別に見ると、それぞれの属性の事情や現状が透けて見えてくる。
↑ 今後の働き方別非正社員の若年就業者割合(調査時点で在学していない人のみ、男女別)(2018年)
↑ 今後の働き方別非正社員の若年就業者割合(調査時点で在学していない人のみ、男女・年齢階層別)(2018年)
・男性は20代前半、女性は10代後半においては多様な事情があるらしく「その他」「不明」回答が多い。また女性10代後半は「独立して事業を始めたい」とする意見が2割を超えている。
・男性10代後半は「別の会社で正社員として勤めたい」との意見が1/3を超える。
正社員を望む人のうち「”別の会社で”」正社員を望む人の割合がどの属性でも一定率存在するのが目に留まる。逆に考えれば「非正社員として働いている現在の会社では、正社員化を望んでいない」ことを意味する。【学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合】にあるように、この年齢層の非正社員割合は高めで、多くの人たちにおいて(会社側・本人自身側の責は別として)現在就業している会社の状況が理不尽にハードであることが想像できる。
【ニート・フリーター問題対応策は「自助努力」が最多意見、無職は「わらにもすがりたい思い」】や【ニート・フリーター問題は社会のせい? 自分のせい? 立場で異なる責任所在への意見】などの分析記事にもあるように、自ら望んだ人以外の非正社員に対する考え方は多様。まさに「あちらを立てればこちらが立たず」のような問題が生じているのが「非正社員」に関する問題。
特に今後は高齢者の低賃金による再就職や自動化で求人が奪われ、若年層の雇用市場が悪化する可能性があるため、若年就業者の非正社員問題はさらに大きなものとなる。安定した就業が人生生活や消費行動においても重要な要素となることも考慮し、「これから」を創る若年層達の方を向いた政策を切に願いたいものだ。
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