お米の品質、猛暑で大幅に低下し1等米比率が約6割強に留まる
2010/10/22 07:11
農林水産省は2010年10月20日、2010年産のお米の品質検査結果を発表した。それによるともっとも品質の良い1等米が全体に占める割合は64.4%に留まっていることが分かった。過去5年間では2008年産の77.5%をはるかに下回る値となっている。「心伯・腹白」を要因とする格下げが多く、夏の猛暑で栄養が行きとどかなかったことによる等級低下が考えられる。また今年の等級低下は全国的なもので、昨年比では特に北陸-東海地方の減少が大きいことが確認されている。
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【むしろ水不足が心配? 日照時間(2010年9月分)】などでも示しているように、今年は春先までの異常な日照時間の少なさと、夏季における異様な高温(酷暑)が特徴で、お米をはじめとする各種作物への影響が懸念されている。日照時間自身は春までの不足分を夏以降で補う形となったものの、高温による発育不足も想定されていた。今回発表されたお米の品質調査結果の内容は、その懸念を裏付けるものとなっている。
お米の品質は大まかに1等・2等・3等・規格外に区分できるが、そのうち最上級の1等について水稲うるち玄米の1等比率は64.4%でしかなかった。残りの35.6%は2等・3等・規格外のいずれかに属することになる。これは過去5年間では最低の値(一部報道では1999年以来最悪との話もある)。
↑ 9月30日時点の水稲うるち玄米1等比率
これをもう少し詳しく見たのが次のグラフ。過去3年間の9月30日時点の等級比率と、今年・去年の2等以下の格付け理由を示したもの。
↑ 9月30日時点の水稲うるち玄米等級比率
↑ 2等以下格付け理由
今年は「心白・腹白」による格付け低下の影響が大きいことが分かる。「心白・腹白」とは、「心白」が「玄米の中心部が白くにごること」、「腹白」は「玄米の側面が白くにごること」を意味し、夏期の高温によって栄養が十分にいきわたらず発生するといわれている。これが起きると味が落ちてしまい、当然格付け低下の大きな要因となる。
今年の酷暑は全国的なもので、結果として水稲の品質低下もまんべんなく発生している。
↑ 地域・農政局別等級比率(2010年、水稲うるち玄米)
↑ 地域・農政局別等級比率(水稲うるち玄米、1等のみ、9月30日時点)
昨年同時期のデータと比べてみても、特に北陸・東海地方の1等比率の低さが目立つ。またそれ以外の地域でも、北海道以外は10-20ポイントの低下が確認できる。
収穫までにはまだしばらくの猶予があるため、今後品質が多少なりとも向上する可能性はある。しかし大勢としては「量は平年並みでも質が大幅に低下している」という状況に変わりはないだろう。日照時間の変移と合わせ、今後の動向を注意深く見守りたいところだ。
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