若者は専門ビル・中堅層はネット通販…秋冬ファッションアイテム、どこで買う?
2010/10/22 12:05
ORIMOは2010年10月19日、秋冬ファッションアイテムに関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち秋冬ファッションアイテムを購入した・購入予定のある人においては、その購入先としてトップに挙げられた店舗業態は「ファッションビル」だった。次いでインターネット通販、一般小売店が続いている。百貨店は2割強でしかなく、百貨店・デパートの苦戦ぶりが改めてうかがえる結果となっている。
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今調査は2010年10月5日から14日にかけて、携帯電話を利用したインターネット経由で20-59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、調査母体自身の年齢階層比は非公開だが、20-30代が多め、40-50代が少なめになっていることが確認できる。
今年はとりわけ酷暑だったために夏物商品が売れた反面、秋口商品のセールススタートが遅いとの話を、小売店業者の月次レポートでよく見かけるようになった。昨今になってようやく秋の気配を感じ、それなりに各商品は動き出しているものの、スタートダッシュの遅さや、消費性向の減退がわざわいしてか、あまり積極的な流れは見られない。また各業態で流行り廃りも見受けられる。
調査母体において、調査時点で秋冬物のファッションアイテム(靴やバッグ、アクセサリーなど)をすでに購入した、あるいは購入するつもりである人は82.2%に達している。その人たちに、どこで買った・買う予定があるかを複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。トップは専門店ともいえるファッションビル、次いで携帯電話によるインターネット経由という調査母体もあってか、インターネット通販が第二位についている。
↑ ファッションアイテムをどこで購入もしくは購入予定ですか?(複数回答)
小売店、アウトレットモールもそれなりのポジションにあるが、本来衣料品がメイン商材であるはずの百貨店を選んでいる人が四分の一程度でしか無い。同調査別項目で「アウトレットモールに求めるもの」として「より安く」「より品ぞろえを豊富に」という意見が上位を占めているが、(百貨店も同様に)これらのニーズに応えるだけのサービス・アイテムを提示しきれていない可能性は否定できない。
年齢階層別の動向を見ると、各世代のファッションアイテムの購入場所に対する考え方の違いがすけて見えてくる。
↑ ファッションアイテムをどこで購入もしくは購入予定ですか?(複数回答)(年齢階層別)(50代は母数少数のため参考値)
20代はファッションビルでの買物自身を楽しんでいる雰囲気もあり、とりわけ高い値が出ている。インターネット通販よりもその他小売店・アウトレットモールの値が高いところを見ても「買物そのものを娯楽として見ている」感が強い。一方30代以降になると、ファッションビルでの利用性向は急激に下がり、インターネット通販の利用率が上昇していく。ネットでの買物を使いこなし、買った後の装着に重点をおいているのだろうし、あるいはファションビルまで買いに行くのが億劫な可能性は否定できない。
今件はインターネット、しかも携帯電話経由の調査母体であるため、例えば「インターネット通販」に限れば40代で半数を超えるなど「利用性向そのもの」はやや上積みされている雰囲気がある。しかし若年層より中堅層の方がインターネット通販を多用する傾向は他の調査でも示されており(【一人身生活の友・本やCD、ゲームソフトをネット通販で買ってる?…世代毎の一人暮らしにおける教養娯楽品のインターネット通販での購入比率の移り変わり】)、絶対値はともかく増加傾向そのものは間違いない。
その他の(近場の)小売店、あるいは百貨店の利用は歳を経るほど上昇していくが、その割合は緩やかであり、40代でも他の主要項目と比べて百貨店の利用割合は低い。50代でようやくファッションビル・アウトレットモールを抜くものの、50代の値は参考値でしかないため、あまり当てにはならない。
今件だけで断じることはリスクが多分に高いが、デパート・百貨店の今秋冬の衣料品部門の営業成績も、過度な期待はしない方が良さそうだ。
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