借金と貯蓄の合算は…単身世帯の貯蓄・負債・純貯蓄額の実情(最新)
2021/08/30 03:12
先行記事【若者の貯蓄は男性156.6万・女性186.7万円…単身世帯の年収や貯蓄額(最新)】において、総務省統計局が2021年5月28日までに発表した【2019年全国家計構造調査】の公開値を基に、単身世帯における年収や貯蓄額の現状を確認した。これらはあくまでもお金の入り具合、貯めている現状のみを示しており、同時に抱えているであろう負債に関しては考慮されていない。そこで今回は各種負債、さらにはその負債も考慮した上での純貯蓄額を考察していくことにする。
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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。
まずは純粋な負債額。年齢階層別・男女別ではあるが、単身世帯のうちそれぞれの属性における平均値であることに注意。
↑ 負債内訳(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 負債内訳(単身世帯、女性、年齢階層別、万円)(2019年)
男女とも青色、つまり不動産関連の負債が大部分を占めている。「単身世帯のうちそれぞれの属性における平均値であることに注意」としたのはこの点。不動産を購入していない人は丸々この負債の分が無くなるので、当然負債額も大きく減る。ただし今件は単身世帯全体の平均について考察しているので、その点まではこの項目では考慮しない。
男性50代で大きく「住宅・土地以外の負債」が増えているが、この項目に係わる解説は「生活に必要な資金、個人事業に必要な開業資金、運転資金などを借り入れた場合の未払残高」とある。早期定年退職制度を活用するなどで起業をする人、あるいはすでに起業している人による運転資金の借り入れの影響か考えられる。
また、女性が40代で急激に不動産関連の負債が増加するのも注目に値する。やはりこれも推測でしかないが、独身女性の一心発起による住宅購入のタイミングが、この年齢階層にある可能性は低くない。実際、【一人暮らしの女性の決断か…男女別単身世帯の分譲マンション比率(最新)】などでも同じタイミングで住宅所有が増加しているのが確認できる。
男女の縦軸、つまり金額の区分は揃えてあるので男女で額を比較すると、女性の負債が少ないのにも気が付くはず。40代から50代にかけてやや不動産の負債が大きくなるが、それも一時的なものに過ぎない。30歳未満は30万円にも満たず、30代でも200万円に届かない。
さてそれでは貯蓄から負債を引いた、純貯蓄の額を算出する。繰り返しになるが、負債の多くは住宅ローンで、住宅ローンを他の通常の負債と一括して考えて貯蓄と相殺するのはやや難がある。住宅そのものが換金率の低い財産であり、住宅の所有は蓄財に他ならないとする見方もできるからだ。今件はあくまでも金額負担の上での負担、指標程度のものとして見てほしい。
↑ 純貯蓄額(貯蓄額−負債、単身世帯、男女別・年齢階層別、万円)(2019年)
30代までは女性の方が、40代以降は男性の方が純貯蓄額が大きい。男性の方が抱えている住宅ローンの額は大きいものの、それでもなお男性の方が大きくなる。ただし全体ではわずかながら女性の方が純貯蓄額は大きくなるのが実情。
また歳を重ねるに連れて住宅保有者も住宅ローンを完済し、余力ができた分を蓄財に回せることから、50代以降は額面が大きなものとなり、60代では退職金でその額は最大値を示すのは、男女ともに変わらない次第ではある。
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