若者の貯蓄は男性156.6万・女性186.7万円…単身世帯の年収や貯蓄額(最新)
2021/08/29 03:16
労働の対価などで得られる収入で人々は日々の生活を充足させ、さらに将来やリスクに備え蓄財をしていく。お金の動向は生活の状況を如実に表す指標の一つとして、多数の調査における対象項目となり、さまざまな状況確認や分析の材料として用いられることになる。今回は総務省統計局が2021年5月18日までに発表した【2019年全国家計構造調査】を基に、単身世帯における年収や貯蓄額の現状を確認していくことにする。
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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。
最初に示すのは全体、そして男女のみで区分した、現在の貯蓄額と年収。今件における貯蓄額とは預貯金に加え生保・損保の掛け金(払込総額)、株式や投信などの有価証券(時価換算。債券は額面)を意味する。なお同居しているが別世帯勘定の世帯の各種貯蓄、現金のまま保有しているたんす預金、知人などへの貸金、公的年金などの掛け金、手持ちの現金は貯蓄とは見なさない。
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男女別、万円)(2019年)
若年層から高齢層まで、会社役員から無職まですべて合わせ、全体の年収は平均341.7万円。貯蓄残高は967.9万円。男女別では女性より男性の方が貯蓄高が大きく、年収も男性の方が上となる。貯蓄高は後述で具体的に示すが、おおよそ高齢層が平均を底上げする形となっている。
続いてこれを男女別、年齢階層別に区分して各値を算出したのが次のグラフ。左右ともに縦軸の区分は男女共通にしてある。
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、女性、年齢階層別、万円)(2019年)
年収は概して男性の方が高い。ところが貯蓄額を見ると、40代までは男女であまり大きな違いは出ていない。年収は女性の方が低いので、当然貯蓄年収比は、40代までは女性の方が上になる。50代以降でも貯蓄年収比において男女差は大きな違いはなく、60代は再び女性の方が上になる。
男女を問わず60代以降になると正社員としての就労が難しいことから、年収は50代と比べて大きく減少するが、住宅ローンの完済派も増え、退職金で貯蓄が大きくふくらむ人も多々出てくる。60代以降は年金とこれまでの貯蓄の取り崩しで生活を立てる人も増加するため貯蓄額は減るが(60代そのものは退職金で上乗せ派が多いため、年齢区分では最大値を示す)、年収は60代よりやや落ちる程度なことから、貯蓄年収比にも大きな変化は生じない。
今調査結果では単身世帯である理由(単に未婚なのか離別・死別したのかなど)については調べられていないため、特に高齢層における(配偶者がいた場合の)遺産や慰謝料などがどこまで反映されているかは判断ができない。【自分の歳で結婚している人は何%? 結婚状況など(最新)】などの各種調査結果を見ても明らかなように、高齢者の女性単身世帯では、配偶者と死別した世帯が圧倒的に多いことから、高齢層の女性では少なからぬ影響を与えているはずではあるのだが。
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