3/4は「日本の食料自給率は低い」、9割は「高めるべき」「国産品の増加」の声
2010/10/15 12:00
内閣府は2010年10月14日、「食料の供給に関する特別世論調査」の結果概要を発表した。それによると現在の日本の食料自給率(カロリーベースで約40%)について、低いと考えている人は約四分の三に達していることが分かった。今後どうすべきかについては約9割の人が(意志の強さはともあれ)高めるべきだと考えている。また食料の生産・供給のあり方では、コスト高でも、その逓減努力を重ねながら出来るだけ国内で作っていくべきだとする意見が9割以上を占めており、経年データでは少しずつ増加傾向にあることが確認できる結果となっている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は20歳以上の男女に対し、調査員による個別面接聴取方式で行われたもので、有効回答数は1939人。男女比・年齢階層比は現時点では非公開。
食料自給率については現在カロリーベースで45%に引き上げることが目標値と定められ、さまざまな運動が進められている(【食料自給率1ポイント増加の40%にまで回復。されど理由は……】、【7年間で39%から45%へ・食料自給率向上計画】)。また、民間の調査でも「自給率は上げていくべき」という回答が多数を占めている(【自給率「上げていくべき」増加中 現在9割 認知も高まる】)。一方昨今では「何でも反対」「過去の政策は陰謀に満ちている」的な風潮もあり、食料自給率そのものの考え方を無意味とする意見も出始めている。
今調査結果でもその傾向が反映されているらしく、2年前の調査結果と比べて食料自給率については、「低い」という認識がやや低くなる結果が出ている。しかしながら大勢を占めていることに違いは無い。
↑ 食料自給率について
さすがに「高い」とする意見は1割を切っているが、「分からない」が増えたのも気になるところ。
ではこの自給率について、今後どうすべきか。これも先の風潮を反映してか、「高めるべき」派の減少が確認できる結果となっている。
↑ 食料自給率について・今後どうすべきか
「高めるべき」という強い意志の人が減り、「どちらかというと高めるべき」が増えているのも注目に値する。
最後に、食料自給率の増減を考える上で重要な要素となる、「食料の生産・供給のあり方」について。やはり直近のデータでは多少減退する傾向を見せてはいるものの、全体的にはコスト削減の努力を続けながら国産品の増大を望む声が大きく、しかも経年と共に高まりを見せているのが分かる。
↑ 食料の生産・供給のあり方について
「基本食料」に限定した意見は減っているが、全体的な国産品化を望む声はむしろ大きくなっていることも、注意してみるべきだろう。
食料の自給(率)問題は、計算方法などに対する疑念の声もあるが、基本的には昨今のレアメタル問題に例えれば分かりやすい。海外に頼れるのならそれにこしたことはないが、何らかの事情で急に輸入量が減少し頭を抱える羽目になったり、それをたてに様々な無理難題を押しつけられたり、不条理な主張を耳にせざるを得ないリスクを背負うことになる。
自前で食料をどれだけ確保できるかは、食料そのものだけでなく、その他の方面にも大きな影響を及ぼす問題であることに違いは無い。食料の自給意識が高まる中、中長期的な視野を持った政策が求められよう。もちろん、食料の無駄なロストを少なくする仕組みの構築と共に。
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