高齢者もネットショップやスーパー、コンビニへ
2010/10/03 07:46
[ファミリーマート(8028)]が立ちあげた大人コンビニ研究所は2010年10月1日、50-65歳男女(「おとな世代」)における食品系小売店利用の傾向に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、この一、二年でインターネットショップの利用性向が大幅に増大する一方、ファミリーレストランや百貨店などが減少する傾向が分かった。ファストフード店や牛丼チェーン店など、いわゆる「廉価なファストフード」も減少している。高齢者における食品系小売店の利用スタイルは、ますます「在宅・近隣志向」「便利」が強まりを見せているようだ(【発表リリース】)。
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今調査は2010年7月にインターネット経由で50歳-64歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は454人。男女比・年齢階層比は非公開。
退職済み、あるいは退職を間近に控え、比較的悠々自適なライフスタイルを堪能していることが多い今件調査母体層は、小売業者にも無視できないどころか重要視したい階層。しかし一方で【歩きは1キロ、自転車は3キロ……普段の生活で行ける距離】にもあるように、若年層と比べて行動範囲は狭く、不景気感から消費性向も内向きに。
この1、2年で利用機会が増えた店・減った店を聞き、増えた派回答から減った派回答をマイナス。結果を「利用性向の増加傾向DI」としてグラフ化したのが次の図。昨今で全般的に利用機会が増えたのは「インターネットショップ」「スーパー」「コンビニエンスストア」のみであることが分かる。
↑ ここ1-2年で利用機会が増えた、減った店は?(増加派から減少派を引いた、増加傾向DI)
「50-64歳」という高齢層で「インターネットショップ」の利用が増えたのは、パソコン・インターネットそのものの普及と、インターネットショッピングモールの機能・取扱商品の拡充によるところが大きい。あるいは携帯電話経由で購入している人も多分にいるかもしれない。
一方「スーパー」や「コンビニ」の利用増加は、グラフにもあるように「近隣志向」から来るもの。遠出、複数個所の店舗を回る面倒くささより、一度でまとめて、しかも安めに購入できる「スーパー」や、「まとめて」「近場」「いつでも」という点でスーパーに優れる「コンビニ」は、高齢者に受け入れられつつある。前者は特に【6年連続経常利益をはじき出す「ダイシン百貨店」のレポートから、デパート不況打開の糸口を考えてみる】にもあるように、「まとめて」「近場」の傾向を強め、小売業不況を突破する糸口とする会社もあるほど。
他方、冒頭でも触れているが、外食系店が軒並み減少。それなりの金額を使う店だけでなく、安さが売りの「ファストフード店」「牛丼チェーン店」まで利用性向を大きく減らしている。節約志向から全体、あるいは他の年齢階層同様に外食を減らす傾向があるのは分かるが、安価な「ファストフード店」「牛丼チェーン店」まで大きく減っている。味の好き嫌いが変わりつつあるお年頃、ということだろうか。
最後に、グラフで矢印にて注意書きをした「インターネットスーパー」について。「インターネットショップ」はいわゆるアマゾンや楽天市場、ヤフーショッピングのようなモール系ネットショップを指し、「インターネットスーパー」は店舗販売のスーパーが開設しているインターネット上のネットショップを意味する。「インターネットショップ」が大きく伸びているのに、「インターネットスーパー」が減少しているのは、やはりスーパー系のネットショップの操作方法が複雑・独自的と考えれば納得もできよう。
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