「え、こんなニュースが?」他の用事で使ってたネットでニュースを見つける米国人は76%
2010/09/28 05:04
アメリカの調査機関PewResearchCenterは2010年9月12日、アメリカ人が接触する主要ニュースメディアに関する調査結果【Americans Spending More Time Following the News】を発表した。それによると調査母体のうちインターネット利用者においては、76%が「他の用事でネットにアクセスしている際に、ニュースに出くわす、目に留まることがある」と回答していることが分かった。若年層ほどこの傾向は強く、【ニュースは「テレビの前に正座して」から「何かのついでに」の時代へ】でも触れた「ながら見」がインターネット上においても行われ、ネットを利用する時にマルチタスク的な見方・使い方をしているか、注意を分散した使い方に慣れているものと思われる。
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今調査は2010年6月8日から28日にかけて、乱数で選ばれた大人を対象に、携帯電話・固定電話経由の口頭による電話経由で行われたもので、有効回答数は3006人。
時代の変化と共にニュースと接する総時間に大きな違いはないが、ニュースを取得する媒体、各媒体に配する時間は変化を見せている。以前【新聞が最下位へ・アメリカ人が利用する主要なニュースメディア推移】でも示した通り、紙媒体が漸減し、テレビは横ばい、インターネットが増加の傾向を見せているのが分かる。なお下のグラフに直接表記は無いが、「携帯電話・電子メール・ソーシャルメディア・ポッドキャストをインターネット項目に加えると、インターネット経由でのニュースアクセスは全部で44%に達する」とある。
↑ ニュースを取得するために昨日接触したメディアは?(複数回答)(再録)
ニュース取得のための主要媒体となりつつあるインターネットは、何もニュースを読むためだけのものではない。仕事、趣味趣向、他人とのコミュニケーション、オンラインバンキング、多種多様な使い道がある。一方でそれら「ニュースのチェック」以外の使い方をしていた際に、ニュースに出くわすことも少なくない。ツイッターで趣味の情報を収集していたらタイムライン上に「ゴルフで●×選手が優勝した」「俳優のA氏と歌手のB嬢が結婚」などといったツイートに遭遇したり、ソーシャルネットワーク上で自分の日記のコメントを見ているとサイドバーの最新ニュース一覧に「ビックタイトル『×●△』の続編発表」などの文字が目にとまったりなど、状況は多種多様なものが想定できる。
そのような「意図しないネット上の状況下でのニュースとの遭遇」の経験があるか否かについて聞いたところ、全体では62%、インターネット利用者内では76%が「ある」と回答した。ネット利用者の3/4ほどは「他のことをやっていたのにニュースが目に留まってしまった」ことがあるわけだ。
↑ 他の用事でネットにアクセスしていた際にニュースに出くわすことはありますか
元資料では「他の用事でインターネット上に居る時に偶然オンライン上のニュースと遭遇する」云々としか説明が無く、上記の説明のように「他の情報に混じってニュースが流れ込んでくる」のか「他の主要目的のサイト内にニュースを配信する場所があるのか」などまでの状況は判断できない。ただいずれにせよ、現実の社会同様にインターネット上にもニュースは満ちあふれており、それに触れる機会もいたるところに存在するのは事実。確率的には「街中を歩いていて帽子をかぶっている人に遭遇する」くらいの割合だろうか。
興味深いのは、若年層ほど「ニュースとの遭遇機会」率が高い事。ネット利用者内で限れば18-24歳は9割以上なのに対し、65歳以上は58%でしかない。冒頭でも触れたが若年層は複数の情報を同時に取得することに慣れていることや、そのような使い方をする場合が多いのが、ニュースに触れる機会が多いことを意味していると考えて良い。
この「マルチタスク的な使い方」はインターネット内部だけでの話。だが、インターネットと他のメディア・行動との間のマルチタスクでも同様の結果が出ているのは、すでに【ニュースは「テレビの前に正座して」から「何かのついでに」の時代へ】でお伝えした通り。
↑ 「ながら見」ニュース比率(再録)
元々若年層の方が情報の同時処理能力や瞬発力に勝ることはいうまでも無い。それに加え【若者層の新聞離れのトップは「お金がかかるから」、その意見に潜むものは……】で解説しているように若年層、特にデジタルメディア世代は、情報過多の世の中にどっぷりつかっており、効率的に情報を取得したい気概がある。だからこそ四方八方に情報取得の網を張る傾向があり、同時に「ながら視聴」をするようになる。「ニュースに出くわす」という表現をした・元リリースでもされているが、若年層にとってはむしろ「半ば意図的に網を張っていたところにニュースが引っかかる」と表現した方が適切といえよう。
これらの観点から考えるに、若年層においては「マルチタスク」「ながら」のキーワードがポイントなのかもしれない。
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