グリーとディー・エヌ・エーの状況を少々詳しく解説(テレビCM出稿量動向:2010年8月分)
2010/09/26 07:23
シーエムナビは2010年9月24日、関東・関西・名古屋主要三地区のテレビCM(コマーシャル)の2010年8月度各種ランキングデータを発表した。それによると、同月における関東・関西合計の「テレビCM放送回数」「テレビCM放送秒数」は、前者が興和新薬、後者が花王となった。また1本あたりの時間の長さの関係によるものか、回数ではトップテンに入らないアリコジャパンが、放送秒数では2位についている。
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データの取得場所の解説や各種データの意味などの説明は、一連の記事まとめページ【定期更新記事:テレビCM出稿量動向(シーエムナビ)】に収録されている。そちらで確認をしてほしい。
公開データを元に、関東・関西(名古屋は数が少なめなど統計上の理由で略、以下同)の各値を合計し、全国区に近い形でのランキングを生成したのが次の図。
↑ 月間 テレビCM放送回数 広告主ベスト10(2010年8月、関東・関西地区合計)
↑ 月間 テレビCM放送秒数 広告主ベスト10(2010年8月、関東・関西地区合計)
・花王の夏季攻勢まだ続く
・携帯2社奮闘
放送回数では自社内では先月より大幅に数字を増やした上で、興和新薬がトップ。放送秒数では花王がトップ。前者は新商品の展開による新CMを8月頭から行っており、これが影響している。またいわゆるフリースポット広告をよく出稿する企業であることから、広告出稿の面で景気に陰りが見えてきた感は否めない(同様のフリースポット広告企業として著名なハウス食品の順位も上昇している)。花王の放送秒数でのトップは【大企業のテレビCM出稿量推移……(1)花王】などでも明らかな、毎年新年度から夏季にかけて(新商品の展開と共に)テレビCMを大量に投入する傾向によるもの。ただし先月と比べるとやや勢いに欠けるところがあり、夏季攻勢も終盤を迎えつつあるように見える。
●個別案件:アリコジャパンと携帯2社
今月はまず最初にアリコジャパンを取り上げる。同社のCMは放送回数では13位とランキング圏外だが、放送秒数では第二位についている。単純に回数を秒数で割ると38.9秒/回となり、他のCMと比べて異様に長いことが分かる(例えば興和新薬なら15.0秒/回でしかない)。シーエムナビや同社の【CMギャラリー】などを観ると、「やさしくそなえる医療保険」で大攻勢をかけていることが見て取れる。
CMそのものは大きく描かれた主要なデータと共に各種保険のスペックを淡々と述べ、それに「例えばあなたが」などと視聴者に語りかけるオーソドックスなもの。それを他社のCMと比べて長めの寸で放送することで、高い効果を期待しているようだ(具体的動画はYouTubeなどで「アリコジャパン」をキーワードに検索してほしい)。
続いて取り上げるのは先月同様携帯2社、具体的にはグリーとディー・エヌ・エー。シーエムナビの「週刊新商品CM News」で確認したが両社で新商品に関する広告は無く、既存のCMを引き続き大量投入していることが分かる。両社の広報展開については以前【グリーとディーエヌエーによるテレビCMの多さの「なぜ」を考えてみる】と【グリーとディーエヌエーによるテレビCMの多さの「なぜ」を”もう少しだけ”考えてみる】で詳しく解説し、さらにその後両社に広告戦略や詳細について問い合わせを行っている。うちディー・エヌ・エーからは返事があり、【ディー・エヌ・エーさんから返事が来た】にて掲載しているので、興味がある人は確認してほしい。
なお両社とも今件記事ではデータの計測外としている名古屋地区で、非常に大きな注力をしているのが確認されている。名古屋地区に限れば、放送回数ではグリーがトップ、ディー・エヌ・エーも興和新薬に次いで3位に収まっている。他社の出稿がたまたま少なかったのか、あるいは意図的に大量投入したのかまでは不明だが、両社の意気込み、あるいは勢いは十分に把握できよう。
※2013.06.24.追記
当カテゴリー記事まとめ部分にもある通り、シーエムナビの公開データによるテレビCM精査はこれが最後となる(情報公開が終了してしまったため)。現在テレビCM周りは類似の【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】で展開中なので、そちらを参照してほしい。
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