ニュースは「テレビの前に正座して」から「何かのついでに」の時代へ
2010/09/22 07:13


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今調査は2010年6月8日から28日にかけて、乱数で選ばれたアメリカ在住の大人を対象に、携帯電話・固定電話経由の口頭による電話経由で行われたもので、有効回答数は3006人。
時代の変化と共にニュースと接する時間に変わりはないものの、ニュースを取得する媒体は漸次変化を見せている。以前【新聞が最下位へ・アメリカ人が利用する主要なニュースメディア推移】でも示したが、紙媒体が漸減し、代わりにインターネットが増加の傾向を見せているのが分かる。

↑ ニュースを取得するために昨日接触したメディアの平均接触時間(分)(2006年以降は「新聞」は紙媒体のみ、2006年以降は「ネット」は新聞社の公式サイト含む)(再録)
時間そのものは横ばい、むしろ漸増しているように見えるニュースとの接触時間。しかし密度は確実に変化を遂げている。それが分かるのが次のグラフ。これは「決まった時間に集中してニュースを見る」か「思い立った時間にニュースをちら見(いわゆる「ながら見」)する」かの比率。前者は夕食後に時間を取って夕刊を広げながらじっくりと一面から読み説くシーン、後者はテレビを付けっぱなしにしながら部屋の掃除をし、たまたま目に留まったお昼前のニュース番組をちら見するシーンを想像してほしい。

↑ 決まった時間にニュースを見るか、思い立った時に「ちら見」するか(ながら見)
変化が分かりやすいように縦軸の最下層を0%ではなく30%にしてあることに留意してもらった上で見ても、両者の関係が2006-2008年にかけて逆転し、そのままさらに差を広げているのが明らかな形となっている。ニュースに接する時間そのものに変化は無くとも、「じっくり見ている、読んでいる」か「ちら読み、ちら見している程度」という接触濃度の点では、確実に希薄化している。
この「ながら見」の比率を性別・年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 「ながら見」ニュース比率
まずひと目でわかるのは、年齢・性別に関係なく「ながら見」でニュースと接する割合は増加を続けていること。そして「ながら見」は圧倒的に若年層の方が多いのが確認できる。
以前日本の事情として【若者層の新聞離れのトップは「お金がかかるから」、その意見に潜むものは……】において、「若年層ほどたくさんのメディアに積極的に接する」「時間は限られているので、マルチタスクに接触しないと時間が足りない」「ながら利用が増える・集中しないと使えない媒体は敬遠される傾向にある」という状況を説明した。今件もそれを(国こそ違えど)裏付けしたようなものといえる。じっくり集中しないと閲覧できない新聞は嫌われ、「ながら視聴」が出来るテレビは旧来メディアにも関わらず視聴時間は変わらない。そしてインターネットは漸増し、全体としての「ながら見」の比率も増加している。
今後さらに「ながらニュース視聴」の比率が高まれば、同じ「30分ニュースに接する」でも昔と将来とでは随分と密度が違ったものとなるに違いない。そしてニュースを提供するメディア側でも、視聴スタイルに合った提供パターンがより一層好まれるようになるだろう。
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