高齢者の7割強は「子の世話無しでいいから、財産は自分で使い切る」

2010/09/18 12:05

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老後東京スター銀行は2010年9月15日、親世代の資産に関する意識調査の結果を発表した。それによると60代の親世代・その子世代にあたる30-40代双方において、「親の資産は親が使い切り、代わりに老後も親世代自身で解決する」意見が多数派を占めていることが分かった。ただし子世代の方が多少ながらも、親世代の財産に期待する部分が多いこともうかがえる(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2010年8月27日から28日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は子世代(30-49歳、かつ親が60代でマンションか一戸建てを保有)500人、親世代(60代、子供が30-49歳、かつ自分か配偶者名義で一戸建てかマンションを保有)。男女比は非公開。

【50歳代以上で貯蓄総額の8割強…世帯主の年齢別貯蓄総額分布】などにもあるように、年齢階層別の貯蓄・財産・資産保有高の差異が問題視される一方で、その多くを所有する高齢者の財産をいかに使うかに注目が集まっている。そこでそう遠くない将来、相続が発生しうる(、かつ今調査母体では具体的な住宅資産を保有している)60代の親世代、そして相続の際には一番遺産を受け取る可能性が高い30・40代の子世代双方に、「親世代の財産、使い切る? それとも子供に譲る(相続する)?」に関して尋ねた結果が次のグラフ。選択肢としては「財産は渡す、しかも面倒は見なくて良い」「財産は渡さない、でも面倒は見ろ」というパターンもありえるが、選択肢を用意したところで選ばれる可能性は無いに等しく意味も無いので、この4項目となったようだ。

↑ 親世代・子世代における、親世代の財産に関する考え方
↑ 親世代・子世代における、親世代の財産に関する考え方

親世代は実に四分の三が「財産は自分達で使い切る。だから面倒は見てくれなくてもよい」、子世代も三分の二が同様の意見を示していることが分かる。言い換えれば、多数の金融資産を抱える高齢者世代では「財産を継承するつもりはなく、自分達で最後まで費やす」とする考えが多数を占めているようだ。また、子世代の方がやや「財産を譲渡して欲しい。面倒は見るから」という意見が多いあたり、親世代の財産に期待する面がほんの少しだけ多いこともうかがえる。

資産の譲渡定年退職前後の親世代には、財産継承の意図があまりない。これは「世代間の資産移動が鈍化する」「ライフプランを立てないとやみくもに浪費して家計が破たんするか、必要以上に節約するあまりに資産そのものが死蔵されてしまう」の3つのリスク(厳密には2つ)を意味することになる。個々の世帯では微々たるものだが、積り重なると日本経済全体において少なからぬ影響を与えることになる。むしろ昨今の内需低迷や各種格差問題の一部は、この点を起因としているものと考えても間違いではない。

世帯構成の問題もあわせ、一筋縄ではいかないが、例えば高齢者に向けたライフプランの提供を公共機関が行うなど、解決に向けて手を打たねばならない事柄であることに違いは無い。



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