動画共有サイトの利用、半数は「無料で動画が観れてよかった」
2010/09/12 19:30
マイボイスコムは2010年8月25日、動画共有サイトに関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体で動画共有サイトを利用した人において、生じた行動の変化としてもっとも多くの人が挙げた具体的行動は「テレビ視聴時間が減少した」だった。「DVDなどの映像商品のレンタル減少」「テレビ番組を録画しなくなった」の項目が続いているが、四分の三は「特に変化は無い」と回答している。また、動画共有サイトを利用して良かったと思えることに関しては、約半数が「無料で動画が観られる」を挙げている(【発表リリース】)。
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●動画共有サイトはDVDやCDの売上に影響を与えている?
今調査は2010年8月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万3615人。男女比は49対51、年齢階層比は10代2%・20代11%・30代32%・40代31%・50歳以上24%。
【目的や使い方で分かる「動画共有サイト」の人気のヒミツ】などで解説しているように、「動画共有サイト」とは言葉通り「動画」を利用者同士で「共有」するコミュニティサイト。動画をメインコンテンツに据えたソーシャルメディアの一種である。インターネットの回線速度の高速化や各種技術の発達で、非常に高い画質の動画を掲載・閲覧できるようになり(【映画並の画質にYouTube対応】)、動画共有サイトは新たな時代を迎えつつある。
その動画共有サイトを投稿・閲覧も含め利用している人は、調査母体においては74.6%。その人たちに、動画共有サイトの利用で身の回りにどのような変化が生じたかを聞いたところ、具体的変化の項目で最上位に上がったのは「テレビ視聴時間の減少」だった。14.9%の人が同意を示している。
↑ 動画共有サイトの利用で自身の行動に生じた変化(複数回答、利用者限定)
次いで「DVDなどの映像商品のレンタル減少」が6.3%、「テレビ番組を録画しなくなった」が5.7%、「DVDなどの映像商品購入減少」が3.1%と続いている。一方で、何よりもこのグラフで目立つのは、「特に変化無し」とする人が74.2%にも達していること。
「YouTubeで動画や音楽を視聴する時間を取られたら、あるいは満足されたら、テレビは観られなくなるし、DVDやCDも売れなくなる」と懸念する声をよく耳にする。しかし今件調査結果に限れば、テレビの視聴時間(≒視聴率)はともかく、DVDやCDなどの音楽映像商品の売上にはさほどマイナスの変化は与えていないようである。これは以前【宣伝に役立つか、それとも食われるか……音楽CD・配信とYouTubeとの微妙な関係】で、日本レコード協会の発表データからでも明らかにされている(こちらの場合はマイナス面もあるが、「知るきっかけを与えてくれた」などのプラス面も多く、結果として相殺する、あるいはむしろポジティブな影響を及ぼし得るという結果が出ている)。
↑ この半年間(3月-8月)に購入した新品のCDについて、購入したきっかけとなった物・事は何でしたか。(CD購入者限定、上位10位まで)(【宣伝に役立つか、それとも食われるか……音楽CD・配信とYouTubeとの微妙な関係】から再録)
●「無料っていいよネ」、そして動画共有サイトとテレビの関係
それでは動画共有サイト利用者において、利用して「よかった」と思えることは何だろうか。複数回答で聞いたところ、もっとも多数の人が同意を示したのは「無料で動画が観られる」だった。49.0%、ほぼ半数の人が回答している。
↑ 動画共有サイトの利用で「よかった」と想うこと(複数回答可、利用者限定)
有料視聴システムを採用する動画配信サービスが数多くある中で、(どのような動画かは別として)気軽に無料で動画が閲覧できるのは、やはり動画共有サイトの強みといえる。
また、第二位以降を見ると、「見逃したテレビ番組が観られる」「知らなかった番組やコンテンツに出会える」「居住地域以外で放映される番組やコンテンツが観られる」など、テレビ関連、しかも従来型テレビの機能を補完する役割を持つ項目に対し、多くの同意が示されているのが分かる。
先の項目で「動画共有サイトとDVD・CDは一概に相反する、敵対する立ち位置では無い。動画共有サイトを通じてDVD・CD単体では出来なかった便益(情報の提供は大規模なプロモーション活動に匹敵する)をDVD・CDなどにもたらすように、補完的・相互作用的な関係でもある」と言及した。「動画共有サイトの利用で良かったと想うこと」でテレビ周りの、しかも既存のテレビが提供していないサービスが好まれている点を見ると、このあたりの「利用者側のニーズ」にうまく答えることで、テレビはもっと動画共有サイトから恩恵を受けられる可能性はある。
もちろんそれにはトップ項目にあるように「無料で動画が観られる」ことが前提。一部テレビ局では、今アンケートの上位項目にあるようなサービスを提供しているところもあるが、今一つパッとしないのも、この最上位の項目におけるハードルをクリアしていないからと考えて良さそうだ。
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