社内若者や非正社員は何%? 若年労働者の割合など(最新)
2020/01/14 05:09
厚生労働省は2019年12月18日、2018年時点における若年層の雇用実態を調査した結果「平成30年若年者雇用実態調査結果の概況」を発表した。これは各企業における若年層の雇用状況などを把握し、各種若年者雇用対策の資料として用いるためのもので、労働市場の現状を把握できる、興味深い・有意義な内容となっている。今回はその公開値の中から、若年労働者が企業内にどの程度の割合でいるのか、またどれほどの割合で正社員・非正社員の立場にいるのかを抽出し、検証を行うことにする(【雇用の構造に関する実態調査(若年者雇用実態調査)】)。
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今調査は2018年9月22日から10月15日(個人調査は10月11日から11月30日まで)の間に調査票郵送配布・郵送返信方式にて行われたもので、有効回答数は事務所調査が9455事務所、個人調査が1万9889人。今調査は不定期によるもので、現時点では2018年実施・2019年発表のものが最新となる。
今調査における用語定義は次の通り。
「常用就業者」…期間を定めずに雇われているか1か月を超える期間を定めて雇われている就業者。元資料では常用労働者と表記
「正社員」…直接雇用関係のある雇用期間の定めのない就業者のうち、正社員・正職員など
「非正社員(元資料上の表記では正社員以外の労働者)」…直接雇用関係のある就業者のうち、正社員・正職員などとされている”以外”の人(例 パート・アルバイト、契約社員など)
最初に示すのは、全体的な若年か若年以外か・正社員か非正社員かで区分した就業者の割合。事務所単位では24.0%が「若年就業者はいない」と回答している。それらの事務所も含め、全体としての就業者の属性別比率を算出したのが次のグラフ。青系統色は正社員・赤系統色は非正社員、ベタ塗りは若年以外(35歳以上)・ぼかし塗りは若年を示している。例えばグラフの左端は「青色のぼかし塗り」なので「若年の正社員」となる次第。
↑ 若年・若年以外別、正社員・非正社員別就業者割合(産業別)(2018年)
産業全体では正社員が約6割強・非正社員が4割近くで、これは【非正規社員の現状】などで示されている値とほぼ一致する。一方、産業別に「赤青」系統色別、「ベタ塗り・ぼかし塗り」別で見ると、産業別の特性が色々と見えてくる。例えば卸売業・小売業やサービス業全般では35歳以上の非正社員が多いこと、特に飲食関係では7割強が非正社員で構成されている事など、である。
この図は資料性には優れているものの、それぞれの区分(若年か否か、正社員か否か)との視点では少々把握しにくい。そこでそれぞれの区分で数字を合算し、グラフを再構築する。まずは若年層か否か。
↑ 若年・若年以外別就業者割合(産業別)(2018年)
全体では就業者のうち3割足らずが若年層、残り7割強がそれ以外(35歳以上)で占められていることになる(若年層がいる・いないの事務所数比率とはいくぶんの差があることに注意)。情報通信業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などでやや若年率が高めだが、一方で運輸・郵便業や鉱業・採石業・砂利採取業、建設業などのように、2割前後しかいないところもある。業態の特性、人材の新陳代謝の違い、若年層からの人気のある無しなど、複数の要因が関係してくるので、一概に善悪を云々することはできないが、若年層が1割から2割前半の業態は今後人材不足となることが推測される。あるいは人員そのものが現状で余剰気味であることから、新人をあまり雇わず・雇えず、結果として高齢化状態となっている可能性もある。
続いて正社員か否かの区分。若年も若年以外も合わせた上での全就業者に関する値である。
↑ 正社員・非正社員別就業者割合(産業別)(2018年)
一番非正社員率が高いのは宿泊業・飲食サービス業で73.1%。3/4近くが非正社員。これはファストフード店などを思い返せば、アルバイトが多数を占めている実態は容易に想像できる。また、スーパーなどのパートは卸売業・小売業に該当し、こちらも47.5%と高めの値。逆に専門職やインフラ系、第一次・第二次産業系では正社員の割合が高い。
全体的な構造の上で気になるのは、一部の第一次・第二次産業の形態で、「正社員・35歳以上」の比率が異様に高い点。業態そのものが人員削減のさ中にあるのなら仕方が無いが、そうでない場合には中期的に見た場合、突然急激な人員不足が起きる可能性を秘めていることになる(昨今の人材不足の一因は、まさにこの点にある。団塊世代がいちどきに定年退職を迎えたため、企業そのものを支える人材も多分に含む、この「正社員・35歳以上」の部分が企業からいなくなってしまっている)。
また、最初のグラフの「ベタ塗り赤系統色」、すなわち「35歳以上の非正社員」が多い業態も少々気にかかる。多くはパート、あるいは嘱託の人と考えられるが、この中にどれだけ【高齢フリーターの推移】でも触れている「年長(高齢)フリーター」が含まれているのかを考えると、少々気が重たくなるのは当方だけではあるまい。
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