挨拶や雑談が一番…米携帯のメールやりとりの中身
2010/09/07 07:19
携帯電話を使った文章による意思表示手段としては、日本では電子メールが主流だが、欧米などの海外ではテキストメッセージ(Text Message、ショートメールサービス(SMS))が大いに使われている。以前PewResearchCenterのデータを元にしたアメリカにおける携帯電話の利用事情【携帯電話だけ 米若者は4割】で、アメリカでのSMSの浸透ぶりを再認識したことは記憶に新しい。そのPewResearchで先日、アメリカの携帯電話の利用実情を主にショートメールサービスの面からスポットライトを当てて調べた【Adults, Cell Phones and Texting】が発表された。今回はその中から、SMSが主にどんな内容で占められているのかをかいま見ることができる結果を抽出し、グラフを再構築してみることにしよう。
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今調査は2010年4月29日から5月30日にかけて固定電話経由で、18歳以上の2252人に対して行われたもの。ティーン(10代)のデータについては2009年6月26日から9月24日にかけて、固定電話経由で800人の12-17歳の本人、あるいは保護者(保護者の場合は携帯電話経由)を対象にしている(ただし今件ではティーン対象の結果は出てこない)。
大人におけるショートメールの利用度合いは1日平均39件・中央値は10件ほどとなっている。
↑ 平日何件くらいショートメールのやり取りを携帯電話でしているか(大人対象)(再録)
それではそれらのSMSではどのような内容が語られているのだろうか。一番頻繁にやりとりされているのは、挨拶や雑談だった。1日1回以上それらの内容をやりとりしている人はほぼ半数に達している。
↑ ショートメールを使ってつぎのようなことはどの程度やりとりしているか
元々SMSは上限で140文字(半角で)しか送れないため、本格的な、あるいは込み入った内容のやりとりは難しい。イメージ的にはツイッターでの「つぶやき」がそれに近い(【ツイッターの「公式」データを書き起こしてみる】にもあるように、元々ツイッター自身がSMSをベースにしているのだから当然の話)。また「場所について」とは、自分が今いる場所のレポートのようなもの。例えば「いつものラーメン屋でチャーハンと餃子頼んだよ。今日はサービスデーだって」とか「学校のバス停で到着待ってるんだけど、すでに10分も遅れてるんだよね」「電車で事故があったらしくて、●×駅は大混雑中。この路線避けた方がいいヨ」というところか。どちらにせよ、いずれも「他愛も無いおしゃべり」に近い感はある。
一方「通話できない状況下での情報交換」「待ち合わせの場所調整」は実践・実務的。しかし利用頻度はさほど高くない。これはその下の「仕事」「重要案件」もあわせ、「SMSが実用的な使われ方をすることが少ない」というより、「そのような状況が1日何度も起きるわけではない」というのが正解に近い。
ただし「(まったく利用)しない」項目の値を見ると、やはり重要度の高い項目ではSMSを避ける傾向が強めなのが分かる。万が一のタイプミス、そして140文字内では意思疎通上で齟齬が生じるリスクを考えれば、直接会って、せめて通話や電子メール(文字数制限なし、という意味で)やりとりした方が良いという判断によるものだろう。
日本ではSMSがほとんど使われず、携帯電話における短文の電子メールがそれに近い役割を果たしている。また最近では(秘匿性は無いが)ツイッターが似たような立ち位置を占めつつある。それらの使い方もまた、挨拶や雑談、自分の現状の報告などがメインとなる場合が多い。
SMSの使い過ぎが問題視される昨今(日本では携帯電話のメールが該当する)。「過ぎたるは及ばざるがごとし」はもちろんだが、内容の多くが単なる言葉のキャッチボール程度であることを考えると、SMSやそれに類したサービスは、人と人とのコミュニケーションのハードルを低くしたと見ることもできる。その観点で見れば、SMSの浸透も悪いことばかりではないといえよう。
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