デンマークの一人乗りロケット実験機、打ち上げ準備へ
2010/08/31 04:55
【sorae.jp】などが伝えているようにデンマークの非営利民間宇宙団体【コペンハーゲン・サブオービタルズ(COPENHAGEN SUBORBITALS)】は2010年8月27日、サブオービタル用の小型ロケット「HEAT-1X」による最初の打ち上げ試験を同年9月2日以降に行うと公式ページで発表した。ペイロード(搭載部分)には試験的に宇宙飛行士の人形が載せられた、小型有人宇宙船「ティコ・ブラーエ(Tycho Brahe)」が搭載されている。打ち上げがうまくいけば「HEAT-1X」は上空30キロメートルまで飛行できる。
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↑ 洋上に設置された発射用プラットフォームに搭載されている「HEAT-1X」。プラットフォームそのものに航行能力は無く、小型の潜水艦にけん引(押し出し)されているようだ。
↑ 湾岸で準備中のプラットフォーム・「HEAT-1X」・小型潜水艦「UC3 Nautilus」。上部の橙色の部分が小型有人宇宙船「ティコ・ブラーエ」
↑ 上から見た様子。中に入っているのは人形だが……人間大砲な感じ
「サブオービタル」とは「準軌道」のことで、大気圏外(一応「宇宙」と呼べる範囲で無重力状態になる)に相当する高度100キロ圏外へ弾道飛行を行い、再び地上に戻ってくる飛行を意味する。通常の旅客機の高度が10キロ前後であることを考えれば、その10倍もの高度を飛ぶ計算。
↑ 最終的な飛行計画(公式サイトから)
「コペンハーゲン・サブオービタルズ」はデンマーク初の有人宇宙飛行を実現するため(成功すればソ連(ロシア)・アメリカ・中国に続き、デンマークが4番目の「独自に」宇宙へ人間を送った国になる)、サブオービタル用のロケット「HEAT」と小型有人宇宙船「ティコ・ブラーエ」を開発している。今回打ち上げられる「HEAT-1X」は試験過程のもので、最終的には「HEAT-4X」まで制作される予定。
一方「ティコ・ブラーエ」は1人乗りの有人宇宙船で、写真にあるように円筒状で先端にガラスが取り付けられている(胃カメラのようですらある)。搭乗者は立ったままの状態で「ティコ・ブラーエ」に搭乗、「HEAT」によって打ち上げられ、高度100kmの宇宙空間からガラス越しで外の景色を眺めることができる。帰還は上の図にあるように、複数のパラシュートが用いられ、海などに着水する。
↑ 「ティコ・ブラーエ」。人間大砲の弾頭のようだ
今回は試験飛行のため上空30キロまでだが、最終的には「宇宙飛行」を意味する上空100キロまで打ち上げる予定。すでにエンジン部分の開発には成功しており、そのようすを伝える写真や動画も公開されている。
発射はボーンホルム(Bornholm)島に8月31日に移動したあと、9月2日以降9月17日までに行われる予定。無事発射実験が行われれば、公式サイト上でも各種資料の提供と共に告知が行われるはず。成功を伝える最新情報が掲載されることを心から祈りたい。
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