リアル過ぎる彫刻作品たち
2010/09/02 07:16
グラフィック技術や写真加工技術の進歩により、ちょっとしたテクニックと関連ソフトを持ち合わせるだけで、誰でも比較的容易に「本物らしい偽物画像」を創り出すことができるようになった。【模型にしか見えない不思議な写真手法「ティルトシフト」で撮られた・創られた情景たち】で紹介した写真手法「ティルトシフト」などが好例だ。それだけに、非デジタルな手法による「本物っぽい偽物」にはより多くの注目が集まり、芸術作品としての評価も高いものとなる。今回紹介するのも、一見ホンモノにしか見えない、その実「まったく別のシロモノ」で創られた、溜息が出そうな作品である(トリガー記事:【Neatorama】)。
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↑ 米百ドルの札束……のようだが
一見するとアメリカの百ドル紙幣が乱雑にまとめられ、小さな段ボール製の箱に積み重ねられているかのように見える。実はこれ、全部木で創られた木製の彫刻細工。木製細工の作家【Randall Rosenthal氏】によって創られた作品の一つで、「ランチマネー」と名付けられたこの作品は、彫り込みに6週間、色塗りに6週間の作成日数を要したという。特に色塗りの部分は非常に苦労するそうだが、いわゆるだまし絵的な描写方法(Trompe L'oeil painting)を使い、本物らしく見せる作品を創り上げている。
少々いたずら心も持ち合わせているRandall Rosenthal氏は、自分の作品を展示する際、そのうち一つを「観客が触っても良い状態」にしておくのだそうな。本物そっくりに見える作品を触れると、それが単なる木製の彫刻であることが分かる。まずはその出来栄えにびっくりし、そしてその他の作品もすべて同じような彫刻品であることが分かると、さらに驚かさせるという次第。
↑ アメリカでは絶大な人気を誇るプロ野球選手たちのカード、雑多に並べられた新聞の束、レシピ手帳とまな板に包丁、そしていくつかの素材……全部が彫刻作品
元サイトには制作工程の写真もあり、これらが何かの魔法やトリックによるものではなく、間違いなく彫刻品であることが確認できる。
↑ 「レシピ手帳とまな板」の制作工程の写真。板から切り出しをして彫り込み、本や包丁、材料を創り上げていくのが分かる
ちなみにこれらの作品、値段を聞くこと自体ヤボな話だが、一番上の「ランチマネー」には2万5000ドル(225万円)の価格がついているそうな。下手をすると彫り込まれた現金の額以上の価格なのかもしれないが、この出来栄えならそれでも安いものだろう。
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