背伸び傾向ますます強まる・増加する首都圏住宅ローン総額(2009年分データ反映版)
2010/08/26 12:00
先に【年齢階層別の収入や負債の推移(2009年分データ反映版)】で年齢階層別の貯蓄・負債額の最新データをグラフ化した際に、住宅ローン絡みで以前リクルートの発表を元に、首都圏の新築マンション購入契約動向を記した【値上がりする住宅はローンの積み増しで購入!? 増加する住宅ローン総額平均】を作成していたことを思い出した。こちらもすでに最新のものが【2010年3月16日付で発表されている(リリース、PDF)】こともあり、こちらの記事もデータを更新しておくことにした。
スポンサードリンク
今調査は2009年1月から12月にかけて郵送法で行われたもので、対象は2009年中に首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)で新築分譲マンションを購入契約した人。回答者数は3022人。
調査母体、つまり新築分譲マンションを購入した人のうちローン借入をした人2849人に対し、その借入額を尋ねたところ、最多層は3000-3500万円となった。これは2008年から変わらないが、その上の層・3500-3500万円層や5000万円以上の層が増加するなど、「増額スライド」傾向も昨年から継続している。平均額もわずかだが積み増されている。
ローン借入総額(借入者全体)
2005年以降、ローン借入の総額は増加傾向を見せ、2009年には5年前の2003年と比べてほぼ10ポイントほどの増加が確認できる。増加率こそ違えど、この時期における住宅ローンの負担増は【年齢階層別の収入や負債の推移(2009年分データ反映版)】で提示した総務省統計局のデータでも明らかにされており、住宅ローン借入者の負担が(金額的に)増加していることを裏付けている。
ローン借入総額平均(万円)(折れ線は2003年を100%とした時の割合)
今回は図式を略するが、自己資金(頭金)は逆に減少する傾向がある(2009年においては頭金が200万円未満は26.0%、平均で852万円でしかない)。さらに「頭金」+「ローン総額」の合計、つまり住宅購入総額はほぼ横ばい。従って、「手持ちの現金は少ないものの、少々背伸びをしてでもローンを組んで、値上がりする住宅を手に入れる」傾向は昨年から大きく変わりは無いことが分かる。
やや余談となるが。今調査では「自己資金額」の回答者は調査母体全員であるのに対し、ローン借入総額者数はそれより少ない値を示している。これはすなわち、調査母体の中に「新築分譲マンションを全納で即金にて購入した人」がいることを示している。借入総額のデータが用意されているのは2003年以降だが、2003年度のデータは二次調査項目となっているため、2003年と2004年(2004年の1月-3月分)は比較参考値にはならないので除外。2005年以降のデータでのみ「即金購入者」を計算したのが次のグラフ。
調査母体数とローン借入者数から推測できる「即金購入者」の割合
具体的にどれくらいの額の分譲マンションを購入したかまでは分からないが、ここ数年で即金購入者は漸減傾向を見せていること、一方で少なくとも2009年でも6%近くの人は新築分譲マンションを即金で購入したことになる。色々な意味で(当方から見れば)「あなたも私も知らない世界」のような感はある。やはりあるところにある、ということなのだろう。
■関連記事:
【値上がりする住宅はローンの積み増しで購入!? 増加する住宅ローン総額平均(2008年データ分)】
スポンサードリンク