米不景気下で起きる「悪い事」とそうでないこと
2010/08/23 12:10
先日の記事【「リセッション」を再確認してみる】、そして【「アメリカは2007年12月からリセッション入り」専門機関が正式発表】などでも解説しているが、アメリカ合衆国は現在リセッション(景気後退局面)状態にある。今年の4月には「リセッション終了宣言はまだ時期尚早」との話も持ち上がり、現在もなお真っただ中にあることに違いは無い。そして今回のリセッションは(あるいは前回同様かもしれないが)、アメリカの社会においても様々な変化をもたらしている。その一端を知ることができるレポートが、先日【Lost Income, Lost Friends -- and Loss of Self-Respect】というタイトルでPewResearchCenterから発表されていた。今回はその記事の元データとなるレポートから「リセッションは悪いことばかりではない。二つの局面を併せ持つ」という点にスポットライトを当ててみることにしよう。
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今調査は2010年5月11日から31日にかけて、18歳-64歳のリセッション中における失業経験者810人をはじめとする2967人に対し、面談調査によって行われたもの。デジタル関係によるギャップは考慮しなくて良い。
まずはリセッション期間中に失業経験のある(あるいは現在進行形)の人たちが抱えるトラブル、問題点について。
↑ 失業中のトラブル・問題(現在失職中、あるいはリセッション中に失職経験がある人)
【92%の女性が「経済でストレス」-金融危機で深まるアメリカのストレス社会化】や【アメリカの子供は親が想像している以上にお金関係のストレスを抱えている】にもあるように、リセッションに伴う金銭上・失業問題は老若男女を問わず大きな影を落としている。精神的なストレスから睡眠上の問題を抱えた人は半数に及び、家族関係に傷を負った人も4割を超えている。
一方、「悪い面ばかりではない」とするのが次の結果。
↑ 失業中のトラブル・問題「以外」の事象(現在失職中、あるいはリセッション中に失職経験がある人)
一番右側の項目は半ば開き直りとも考えられるのだが、ともあれ結果論としてこのような事象……主に自由な時間が採れることによるポジティブな面……が生じるのもある意味当然。実際に【アメリカで伸びる「テレビを観る時間」……レコーダーの普及、不景気と選挙が原因か】にもあるがテレビの視聴時間は伸びる傾向にある。
失業とお金周りが厳しくなることで家族間の関係にひびが入り、親友関係も疎遠になり、自尊心も傷つく。一方で家族と過ごす時間や趣味娯楽の時間が増える。このような状況が続くことで、人の心にどのような変化が生じるのか、非常に想像が付きにくい(無論すべての家族がこれらの項目すべてを体感しているわけではないが)。メディアとの関わり合いも合わせ、リセッションを抜け出た後のアメリカは、(少なくともアメリカ全体を構成する個々の世帯の傾向としては)これまでとはかなり違った形・様式を見せるようになるかもしれない。
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