13%は「テレビの影響で勝手に薬の服用ストップ」テレビが患者…医療現場に与える影響とは
2010/08/22 19:30


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今調査は2009年10月16日から11月4日にかけて全国の生活者に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2198人。男女比は51.1対48.9、年齢階層比は10代0.7%・20代11.3%・30代22.4%・40代27.8%・50代21.2%・60代12.2%・70代4.0%・80代0.3%。
月一以上の「日常的な」レベルにおいて、医療に関する情報を「もっとも多く」得ているのはどのメディアだろうか。今調査はインターネット経由であったにも関わらず、トップは40%で「テレビ」となった。仮にインターネット経由で無く、口頭なり文書などでの質問形式なら、さらにテレビの割合は増加しただろう。

↑ 日常的に(月に1回程度以上)、健康・病気・薬などの「医療に関する情報」を、どのメディアからもっとも多く得て・信頼できて・行動に影響があるか(国の医療政策、医師ドキュメンタリー・ドラマなどは除く)
非常に興味深いのは、「信頼できる」割合は「テレビ」より「ネット(PC)」の方が上であるにも関わらず、もっとも行動に影響するのは「テレビ」の方が上だということ。「新聞」「書籍」などの動向も合わせて見ると、単に「テレビ」の行動への影響力が強いというよりは、「情報の信頼性よりも、情報量・頻度の方が医療上の行動に影響を与えやすい」ととらえた方が納得がいく。これは何も医療情報に限った話では無く、【「バナナダイエット」が市場に与えた影響】などのような他方面での状況でも実証されている。
それでは一番実行動に影響を与えるとされるテレビ番組で、自分が関係する薬の副作用の話が出てきたら、どのような行動を取るだろうか。

↑ テレビ番組に「自分や家族が現在服用している薬」の副作用の話が出ていたらまずどうするか
7割強の人は医師や薬剤師に質問すると回答している。これは各服用者における「医師や薬剤師からの情報」が、量・質の面で「テレビ番組による情報」に(受け手側の内面にある「天秤」をかけた場合に)負けたことを意味する。ほとんどは質よりも量、すなわち「服用者と医師などとのコミュニケーション不足」を起因としており、両者間の意思疎通を促進するという点では、テレビ番組はポジティブな働きをしていると考えることもできる。

この結果について冒頭でも触れているが、東京大学大学院薬学系研究科・澤田康文教授は、
と言及している。特に医療系の番組はセンセーショナルな内容となる場合が多く、またその方が視聴者側の「ウケ」も良いことから(テレビ視聴者の年齢階層が高めで、健康への興味関心が高いのも遠因)、結果として過剰なまでのあおりが内容に込められる場合もある。放送する側は「高視聴率を望めればそれで良し」と考えるのかもしれないが、医療サイド、そして患者たちにとってはそれが必ずしも最良の選択肢ではない。その事実を重々承知する必要があろう。
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