事故の衝撃が飛び出す看板
2010/08/17 06:51
これまでにも【ブレーキを踏みたくなる看板】などのように、交通事故防止・安全運転を促進する看板をいくつか紹介してきた。少しでも奇抜さを演出し、あるいは見た人に強い印象を与えることで、メッセージを心に刻み込んでもらい、事故を1件でも防ごうと努力する。そんな関連機関やデザイナーの人たちの気持ちが、ひしひしと伝わってくるものが多いのも特徴。今回紹介する看板もその類の一つで、ひと目で「はっ」とさせられ、交通事故のすさまじさを実感できる看板である(【NEATORAMA】)。
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CBS4 Covers Amelie Company 3D Billboard from amelie company on Vimeo.
↑ 車間距離を十分開けなかったばっかりに……
これはアメリカのコロラド州が展開した、安全運転、特に車間距離を十分に取ることを促進するための看板。普通自動車がトラックの後部に衝突した所を描いているが、衝突した部分が実際に盛り上がり(看板そのものが衝突の衝撃で押しつぶされたような形になっている)、リアルな状況を映し出している。そして看板左側には「前の車両にぴったりとついて運転することは意味が無い(どころかこんなリスクもはらんでいるよ)」と書かれている。
コロラド州ではトラックの周囲に不用意なまでに近づいて運転する(特にトラックを挑発する形で走行する、若年層に多いのだそうな)ことの危険性を公知し、安全な車間距離をとるよう警告しており、この看板を設置するにいたった。関係者いわく「トラックとは距離をあけましょう。法でも定められているのですから」と。
このような注意警告を促す場合、単純に「-してはいけない」と伝えたところで、多くの人は「あ、そうね」「分かった分かった」とさらりと受け流してしまい、心に留めることは少ない。そこで「言うことを守らないとこんなことになり得ますよ」と危険性、そしてその危険が実際に生じた時の状況を再現することで、多くの人の想像力を喚起する狙いがある。この看板を見れば事故の状況、そして後部の普通自動車が自分の自動車だった場合を頭にイメージし、トラックのすぐ後ろについて走ることを躊躇するに違いない。
↑ 看板の製作工程
いわば「飛び出す絵本」ならぬ「飛び出す看板」なわけだが、実物・立体化によるメッセージ性の強さ・深さを改めて認識できると共に、屋外広告そのものの単純かつ強力な一面が分かる事例であるともいえよう。
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