米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる
2010/08/16 12:05
先日、当方の巡回サイトの一つ、【Online AD】で、アメリカのティーン(10代)のオンライン上の行動をまとめたMcAfeeのレポート【The Secret Online Lives of Teens(PDF)】についての言及があった。紹介されていたのはごく一部だが、先日【デジタル世代 10年後も継続?】の話を掲載したこともあり、非常に興味をそそられるテーマといえた。そこで今回はそのレポートの原文を斜め読みし、内容を箇条書きにしてみることにした。
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今調査はインターネット経由で2010年5月4日から17日にかけて、1357人の10歳-17歳のアメリカ在住の子供達に対して行われたもの。つまりインターネットを利用していることが前提となる。とはいえ、現在のインターネット普及率を考えれば、アメリカの子供全体の考え・行動様式と大したズレは生じまい。なお、大まかな項目に分ける際に、元の資料から順番は色々と差し替えてある。
・半数は「すでに5年以上、インターネットを利用している」
・58%は1週間に6-7日ネットにアクセスし、自分を「ヘビーユーザー」と自負している。
・コミュニケーションとソフトなどのダウンロードが主なネットの役割だと実感しているが、勉強もまた重要な役割を持つと感じている。
・約8割は学校の宿題などのためにウェブを使う。
・61%は他人数同時参加型ネットワークゲームをプレイしている。
・16-17歳の56%は個人の情報を共有している。
・53%はメディアを概してオンラインかダウンロードで視聴する。
●保護者との関係
・91%は保護者からオンライン上の行動についてフリーパスをもらっている。
・56%は自分がしていることを保護者が知っていると認識しているが、26%は保護者がチェックすることは無いと回答している。32%は自分がネット上で何をしているかについて保護者に話していない。また、31%は保護者が見ている前では良い子のふりをする。16-17歳になると56%はネット上の行動を保護者から隠すようになる。
・保護者から隠す方法としては、ブラウザを最小にする(29%)、メッセンジャーのテキストを削除する(20%)、ブラウザの履歴を消す(21%)などがある。女性は特に前者2つについてより積極的に行う傾向がある。
・29%は保護者の許可なしにソフトをダウンロードし、16-17歳の男性の45%は成人向けのソフトを許可なくダウンロードしている。
●セキュリティ
・95%は自分自身のセキュリティに自信がある。しかし27%は自宅のパソコンにウイルスやマルウェアでの被害を受けた経験があるし、14%は何らかのパスワードを友人に教えた経験がある。
・音楽や動画の無料サービスを利用する率は2008年の28%から46%に増加している。iPodのような携帯音楽プレイヤーの普及が後押ししている。ただしこれはウイルスなどのリスク増大にもなる。
●コミュニケーションとcyberbullying(ネット上でのいじめ)
・13-17歳なら73%、16-17歳の81%は最低1つのソーシャルメディアに参加している。2008年以降この値は急増している(2008年では13-17歳では59%だった)。
・女性の方がコミュニケーションには積極的。しかしリスクを伴うことはあまり考えていない。女性に限れば25%、16-17歳は43%が、現実にはあったことの無い他人とチャットをする。同時に色々なハラスメントを受ける傾向もある。
・cyberbullying(ネット上でのいじめ)を受けたという話を聞いたことがある人は52%、自分自身が経験した人は29%。
・25%はネット上でのいじめを受けた場合、どうすればよいか分からないと思っている。
・携帯電話の普及率も上昇中だが、それに伴い、実際には正体を知らないオンライン上の他人に自分の携帯電話番号を教える事例も増加中(2008年は8%だったのが12%に増加)
・情報伝達手段、サービスは日に日に増加し、情報量も増しているので、cyberbullying(ネット上でのいじめ)のリスクは増加している。ソーシャルメディアの普及はそれを後押ししうる。
・女性の方がコミュニケーションを好むがため、オンライン上でのトラブルにも遭遇しやすい。男性66%に対し女性は72%がソーシャルメディアのアカウント持っている。そして女性は42%が頻繁に自分のプロフィールを更新する(男性は29%)。
・女性全体の25%、16-17歳の43%は、実際には知らない人とチャットしている。そして男性以上に友人とパスワードを共有し、写真なども公開している。
・一方で男性は、女性以上に成人向けのコンテンツを保護者の許可なくダウンロードしている。男性全体では35%だが、16-17歳に限定すれば45%に達する。
インターネット上でのいじめについて、すでに「cyberbullying」という造語が存在することは(恥ずかしながら)今レポートで初めて知ることになった。また、日本以上にティーンの間にネット環境そのものと、それを利用したコミュニケーションが浸透すると共に、その普及浸透に伴う問題点も色々と大きな問題となりつつある様子が分かる。
レポートでは「今後はネット機能搭載の携帯電話やゲーム機、WiFi環境の普及により、さらに今世代がネットにアクセスできる環境が増える。ネット関連の啓蒙が必要」ともコメントしている。これはアメリカだけでは無く、世界全体において進行している状況といえる。
善しにつけ悪しにつけ、先人の経験は十分に参考にすべきであることを考えると、今件の「アメリカのティーンの現状」は今後の日本においても十分起き得る状況。色々と考えさせられるものがあるのは言うまでも無い。
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