【更新】アメリカのモバイルマーケティング事情など
2010/08/20 12:05


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今調査は2010年4月にアメリカ国内の500以上の企業内マーケット担当者に対して行われたもので、ツイッターや電子メールリスト、Facebookなどを介して回答者が選考されている(つまりそれなりにデジタルメディアを理解している人が対象)。回答者のプロフィールはB2B担当が39%、B2Cが31%、その双方が30%とのこと。
レポートでは最初に
・インターネットへアクセスしている住宅の75%はソーシャルメディアを利用している
(世帯全体の61.5%に相当)
・アメリカ在住の91%(2.85億人)はモバイル端末を使用。
そのうち23%(0.7億人)はスマートフォン利用者
・マーケット担当者の66%は電子メールにソーシャルメディアを連動させてプロモーションなどに利用している
などが語られている。【広告媒体として電子メールはまだまだ重要!?】にもあるように、電子メールは誰もが気軽に使える媒体手段として、いまだに最重要視されていることに違いは無い。
その上で、どのようなソーシャルメディアと電子メールを連動させているか(例えば新着商品情報を動画でYouTubeにアップロードしたので、是非見て下さいという内容のURL付き電子メールを顧客に流す)という問いには、やはりFacebookがトップについている。次いでツイッター、Linkedin、YouTubeの順。少なくともアメリカではこの4つのソーシャルメディアが、企業のマーケティングとして必要不可欠な立ち位置にある。

↑ 電子メールによるマーケティングと連動させる形でどのソーシャルメディアを利用しているか
これらのソーシャルメディアはモバイル端末でも利用は可能だが、会社のサイト自身はモバイル対応がしてあるだろうか。これには2/3の企業が「いいえ」と答えている(※Flowtownの図版では「はい」が67.6%だが、今件は元資料となるeROIのレポートの値に準じた)。フルに対応しているのはわずか7.4%。携帯版専用のページはあるが、パソコン向けサイトと比べると機能制限をしているサイトが15.6%となっている。

↑ あなたの会社のウェブサイトは携帯版が用意してあるか
サイトの内容によっては携帯では表示しきれないものがあるから、機能限定サイトでも仕方がないが、未対応の会社が2/3というは少々多い気がする。
モバイル端末経由でのアクセスは、パソコンとは違った動線処理がされる場合が多い。画面が狭い、操作方法が異なる、複数のウィンドウを開けないなど、相違点に留意したサイト作りをする必要がある。また、モバイル端末利用者の各種階層(年齢階層、男女比など)や利用性向(パソコンのような固定場所での利用では無く、移動途中や移動先での利用もありうる)を考慮した上でのマーケティングや試行錯誤をしなければ、良い結果は得られない。それらの、いわゆる「モバイル市場における最適化・それを得るための経験は重要か否か」という問いに対しては、3割強が重要、3割近くが分からない、そして1/4が現在調査中と回答している。

↑ モバイル市場における最適化経験は重要か
最後にモバイル利用に限らずだが、ソーシャルメディアの利用効果測定について。これについては以前【企業のツイッター利用 効果測定してる?】でも触れたが、何をもってして「効果」とするのか、その測定方法は現在試行錯誤が繰り返されている状態。

↑ ソーシャルメディアの効果測定基準
やはり一番単純にして明快なのは、ソーシャルメディア側で明確化できる数字を用いること。ツイッターならフォロワーが増えれば増えるほど自分のツイートを読む人が増えるわけで、例えば【つぶやくだけでお金がもらえるお仕事です】のような話も起き得る。スケールメリットそのものというわけだ。また、間接的にソーシャルメディア経由でどれだけの人が自社サイトに来てくれたかも参考になる。
「コメントなど」は、記事のコメントも含めたリアクション・反応のこと。手紙や電話と比べればハードルが低いので、(ノイズも多いが)生に近い消費者及びその予備軍の反応・声・要望を聞くことができる。他にも売上や継続期間そのもの(つまり運用し続ければし続けるだけで、効果が生じていると考えている)もある。
今回のデータを見た限りでは、アメリカですらも「ピンからキリまでモバイル・ソーシャルメディアにフル対応・盤石の態勢を整えている」というわけではないことがうっすらとだが見えてくる。ただ動きを見せていない企業のほとんどは「否定的」というよりは、「何をしたら良いのか分からない」「動きたいのだが必要に足るだけの経営資源が無い」に近いと思われる。
何しろソーシャルメディアそのものが大規模に広まり始めてからまだ数年も経過していない。先進諸国であるはずの欧米ですら、黄金律・鉄板の法則が確立されて皆がそれに従っているわけでは無く、より良い方法、より自分の状況にマッチした手法を手探りで探し求めている。そのような状態を見るに、成功事例は積極的に参考にし、使えるポイントは積極的に活用し、あるいは流用する、逆に失敗事例は「他山の石」とする学習姿勢が各企業には求められよう。
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