【更新】自己意識・バブル世代は誠実まじめ、ではゆとり世代は?
2010/08/14 06:15
ヤフーバリューインサイトは2010年7月26日、世代間の意識差に関する調査結果の一部を公表した。それによると調査母体においては、自分自身の人物像・キャラクターイメージについて、若年層ほど「世間一般に言われる”良い”イメージが薄く」「自己愛的・自己顕示欲的な自覚が強い」傾向があることが分かった。バブル世代においては、世間一般的に見られているイメージとは程遠い自己認識をしている傾向も確認できる([発表リリース])。
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今調査は2010年6月22日から23日にかけて首都圏1都3県に住む15-48歳男女のインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。男女比は1対1、年齢階層比は各世代で均等割り当て。なお世代の区分は今件では「バブル世代」(1962-1967年生まれ、43-48歳)「氷河期世代」(1971-1975年生まれ、35-39歳)「ゆとり世代」(1985-1990年生まれ、20-25歳)「バブルJr.世代」(1992-1995年生まれ、15-18歳)としている。世代間において、該当しない年齢も存在することに留意が必要。
時間経過に伴う保有資産の差だけでなく、人格形成がなされた時代の社会情勢の違い、自分達より上にいる世代の社会への姿勢など、さまざまな条件によって似たような社会的傾向を持つ世代が形成される。特に若年層では【外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル】や【「買いたい」想いは変わらない・大学生はなぜクルマ離れをしているの?】などで解説したように、デジタル社会の浸透や可処分所得の漸減、インフラの普及、自分達より先に進んでいる「大人たち」への不信・不満感の高まり、将来に対する「希望」の見えにくさなど多種多彩な理由から、社会・環境に応じた「進化」を遂げている(中堅層以降においてはこの「進化」を「マイナス的性向」と受け止める場合が多く、これもまた世代間の衝突の原因であることは否定できまい)。
今調査では自分自身をどのように思っているか、いわゆるセルフイメージについて該当する項目を世代毎に複数回答で答えてもらっている。そのうち特異な動きを見せた項目のいくつかが公開されている。
↑ 自分自身のキャラクターイメージ
まず冒頭でも触れたように、世間一般としては良いイメージに該当する「真面目」「誠実」「しっかり者」という自認は若年層ほど薄い。そしてあまり好まれない傾向の中でも、自己愛的・自己顕示欲的な自覚が強い(個人主義的な、とも言い換えられる)性質ほど、若年層の自認が強くなる。
リリース内・冒頭でも触れられているが、バブル世代は周囲からは誠実さ・真面目さという点ではあまり高い評価は受けていない。しかし自分達自身ではそれなりに強い意志で「自分(達)は誠実で真面目だ」と意識していることが分かる。さらに「自己中心的」の点ではバブル世代は非常に低い値を示しており、この点だけでも意外に思う人も多いだろう。逆に若年層ほどこれら「誠実さ・真面目さ」の意識が低いのは、「周囲環境が原因で自信を失っている」可能性と、「単にまだ人生の経験を積み重ねておらず自信が構築されていないだけ」の可能性が考えられる。
あくまでもこれらの値は、それぞれの世代が自分達・自分自身を評価判断した値に過ぎず、世間一般・周囲からの意見による総合的・相対的な評価ではない。値が高い項目は「自意識過剰」、低い項目は「謙遜しすぎ」(項目によっては逆になる場合もある)と考えることもできる。
それらを差し引いても「歳を経るほどポジティブな項目の値が高く」「若年層ほどネガティブな項目の値が高い」のは、ひとえに人生経験の不足によるところが大きいと考えて良い。経験が足りないから十分に自信を得ることが出来ず、また臨機応変に対応できないから自分自身を守るのに精いっぱいで、自己愛・自己顕示欲が強くなってしまう。
しかし一方で、例えば「淡泊」「マイペース」の項目でゆとり世代がとりわけ高い値を出している部分があるところを見ると、単純に人生経験の長さだけでは説明しきれないのも事実。特にゆとり世代の個人主義的・他との接触を嫌う傾向は、見方を変えれば過剰なまでの「他人との付き合いにおける自己防衛本能」と見ることもできる。
これは十分に「他人との付き合い方」という、社会生活において欠かせないノウハウを十分に教わらなかったがための結果と推測すれば、納得がいく。彼ら・彼女らにしてみれば、自分の出来る範囲で自分自身を守り、生き抜くために、個人主義に走るのも当然の結果というものだ。さらにリリースでも触れられているが、「メディアや世間で語られているようなイメージ」が繰り返されることで、半ば刷り込まれてしまった感も否めない(良い例が「若者の-離れ」)。
今後歳を重ねるにつれ、「ゆとり世代」「バブルJr.世代」が真面目さや誠実さを自認できるようになるのか、気になるところだ。
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