【更新】若年層は身近手軽な人間関係を好む

2010/08/11 12:05

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仲間内だけでヤフーバリューインサイトは2010年7月26日、世代間の意識差に関する調査結果の一部を公表した。それによると調査母体においては、他人との付き合い方に関する意識について、若年層ほどしがらみなどを避け、身近、あるいは身軽な人間関係を好む傾向が確認された。特に「ゆとり世代」においては自分自身のことを第一義的にとらえる「個人主義的」な考えが強い結果が出ている([発表リリース])。



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今調査は2010年6月22日から23日にかけて首都圏1都3県に住む15-48歳男女のインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。男女比は1対1、年齢階層比は各世代で均等割り当て。なお世代の区分は今件においては「バブル世代」(1962-1967年生まれ、43-48歳)「氷河期世代」(1971-1975年生まれ、35-39歳)「ゆとり世代」(1985-1990年生まれ、20-25歳)「バブルJr.世代」(1992-1995年生まれ、15-18歳)としている。世代間において、該当しない年齢も存在することに留意が必要。

単純な時間経過に伴う保有資産の差以外に、人格形成がなされた時代の社会情勢の違い、自分達より上にいる世代の姿勢など、さまざまな条件によって似たような性向を持つ世代が形成される。特に若年層においては【外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル】【「買いたい」想いは変わらない・大学生はなぜクルマ離れをしているの?】などで説明したように、デジタル社会の浸透や可処分所得の漸減、インフラの普及、自分達より先に進んでいる「大人たち」への不信・不満感の高まり、将来に対する「希望」の見えにくさなど多種多彩な理由から、社会・環境に応じた「進化」を遂げている(中堅層以降においてはこの「進化」を「マイナス的性向」と受け止める場合が多く、これもまた世代間の衝突の原因となっている)。

今調査では人付き合いに関する様々な項目について、回答者自身が同意するか否かを世代毎に尋ねている。そのうち特異な動きを見せた項目のいくつかが公開されている。

↑ 人付き合いに関する意識(とてもそう思う・ややそう思うの合計)
↑ 人付き合いに関する意識(とてもそう思う・ややそう思うの合計)

まずざっと見で分かるのは、若年層ほどリアルな場面での集団行動が苦手な傾向があること。不特定多数の人と面通しで付き合い、対立したり、価値観が違う人との意見交換・コミュニケーションを避ける一方で、自分の立ち位置と近い人・グループとの付き合いを好む傾向が強い。

また、SNSやメール周りのようなデジタル系の付き合いは、概して若年層の方が得意。リリースでも触れられているが、「バブルJr.世代」ではSNS経由で知り合った知人が4割近くに達するなど、インターネットを利用した交流が当たり前のものとして浸透している。

さらに若年層の中でもとりわけ「ゆとり世代」においては、他の価値観との触れあいに強い拒否感を抱いたり、異性間の付き合いの中でも個人の立ち位置を強調する姿勢を見せるなど、個人主義的傾向の強さが見受けられる(これをリリースでは「ドライでフラット」と表現している)。



元々世代間のギャップはどの時代においても存在する。しかしデジタル化の促進による「情報」をとりまく社会環境の激変、さらには経済上の大きな変化が重なり、今回の区分対象では際立った結果が出ている。これは先に掲載した、物品に対する所有意識同様(【世代ギャップ 保有意識にも】)、深いジェネレーションギャップといえる。特に若年層の「他人とのいざこざが苦手」という意識は、デジタル情報・環境の整備で「自分の好みの情報を簡単に探し出せるようになった」ことの裏返しと見ても良い。心地よい環境を容易に探せるのなら、なぜわざわざ苦労をする必要があるのか。彼らの真意が見えてきそうだ。一方で、人生の大半をそのようなツールが無かった時代で過ごした上の世代の人たちには、彼らの行動が理解し難くても、仕方がないのかもしれない。

非難している本人が実は一番責任が……また「ゆとり世代」における個人主義的な傾向は、見方を変えれば過剰なまでの「他人との付き合いにおける自己防衛本能」と見ることもできる。この世代は自由奔放に上の世代から育てられたこともあり、逆にいえば先人たちから「他人との付き合い方」という社会生活においては欠かせないノウハウを十分に教わらなかった可能性がある。そのような状況下で育った彼ら・彼女らにしてみれば、自分の出来る範囲で自分自身を守り、生き抜くために、個人主義に走るのも当然といえる。

中堅層以上(今回の調査対象より上の層)による、バブル世代より若い、特にゆとり世代に対する非難の声を良く耳にする。彼らいわく「世の中が良くないのはキミらの責任だ」というものだ。しかしこれまでの状況を創り上げてきた、そしてゆとり世代そのものの行動姿勢を形成したのは、他の誰でも無い、非難の声を挙げている世代自身に他ならない。世間ではこれを「責任転嫁」と呼ぶのだが、それに気が付いている、あるいは指摘する人はまだそれほど多くは無いのが実情である。



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