ブラウン管から薄型へ・若者世代のテレビ離れ…テレビ普及率や所有数量
2010/08/12 19:30
総務省統計局は2010年7月30日に、同省の公式サイトにおいて、2009年版となる「全国消費実態調査」の結果概要を公開している(【発表ページ】)。5年単位で世帯単位における家計の各種実態を調べたもので、さまざまな政策の基礎資料として用いるデータ収集のために実施されている。今回はそのデータの中から、テレビの普及率や1000世帯あたりの所有数量についてグラフを作ってみることにした。
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調査対象母集団の内訳、そして調査方法は先日の【自動車は少なめ、そして軽や小型化へ 自動車の世帯普及率】にて記した通り。
今回取り上げる「テレビ」についてだが、
・薄型テレビ…ブラウン管型画面ではなく、プラズマ、液晶、有機ELディスプレイを使用したテレビ
を意味する。また、携帯電話に付属していることが多いワンセグ機能のテレビはカウントされていない。
テレビの普及率については以前【年齢階層別のテレビ普及率】で、内閣府の消費動向調査のデータを元にグラフを生成した。それと比べると世帯主の年齢区分が細かく、世代毎のテレビ所有に対する姿勢がよく分かるのが今回のデータ。
普及率は「該当世帯で対象となるテレビがあるかないか」を、所有数量はある世帯・無い世帯を合わせて1000世帯単位でどれだけテレビが所有されているかを示す。
↑ 世帯主の年齢階級別1000世帯当たりのテレビ普及率(二人以上世帯)(2009年)
↑ 世帯主の年齢階級別1000世帯当たりのテレビ所有数量(二人以上世帯)(2009年)
・30歳未満世帯では薄型テレビの方が、それ以外はブラウン管テレビの方が普及率が高い
・ブラウン管テレビ普及率が一番高いのは50歳代、薄型テレビは60歳代
●所有数量
・30歳未満世帯では薄型テレビの方が、それ以外はブラウン管テレビの方が所有数量が多い
・ブラウン管テレビ所有数量が一番多いのは50歳代、薄型テレビは60歳代
・押し並べて若年層の数量が少なめ
地デジへの切り替え期間ということもあり、ブラウン管型テレビから薄型テレビへの切り替えが進んでいる時期であることから、普及率・所有台数とも興味深い傾向を示している。まずは普及率だが、買い替え意向をもつ世帯では一様に買い替えが進んでいるようで、薄型テレビの普及率はどの世帯でも大体6割を示している。30歳未満でブラウン管型と薄型の普及率が逆転しているのは、単純に「これからテレビを買う人が、わざわざブラウン管のは買わない」という理由から。
一方所有数量になると、普及率以上にブラウン管・薄型テレビの差異が生じてくる。特に40歳代以降にその傾向が強く見られる。これは「ブラウン管から薄型テレビへの切り替えの際に、テレビそのものの台数を整理統合したのでは」と考えることで納得がいく。またこの推論は、他のテレビ普及率に関する調査結果でも結論として出たもので、今件データはその推論の裏付けにもなる。
若年層世代のテレビ普及率・所有数量が低めだが、単純に「テレビ離れが進んでいる」だけでなく、今回の数字には表れない「携帯電話やパソコンを使った、ワンセグ視聴で代用している」場合も考えられる。その場合、テレビの視聴スタイルが「大画面のテレビを家族みんなで観る」から「個室などで一人ひとりが別々にワンセグ経由で観る」という、まったく別物のスタイルに変わることもあわせ、色々な面(テレビ視聴率や「テレビの普及率」…ワンセグ機能付きの携帯電話を持っていてもワンセグを積極的に使うとは限らない)で新たな検討を加える必要が出てくるだろう。
地デジ切り替えを目の前にして、今後ますますブラウン管から薄型テレビへの移行が進み、さらにワンセグ利用などで利用スタイルが多様化し、テレビのあり方が別物になりつつある。また、従来なら若年層の方がデジタル系・エンタメ系アイテムの普及率は高いはずなのだが、テレビに限ればその原則は通用せず、逆に高齢層の方が所有数量・普及率が高い現象すら確認できる。
これが何を示しているのか。また、どのような影響を周辺に及ぼしうるのか。検討素材としては非常に興味深いものであり、今件データは他のテレビ普及率周りのものと合わせ、今後あちこちで使うことになるに違いない。
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