独り身世帯の携帯電話やパソコンの普及率
2010/08/09 07:11
2010年7月30日に総務省統計局では、2009年版の「全国消費実態調査」結果概要を発表した(【発表ページ】)。この調査は世帯単位を対象とし、各家計の各種実態を5年の間隔で調べ、多種多様な政策の基礎資料として用いるデータ収集を目的としている。今回はそのデータの中から、単身世帯における携帯電話の所有数量や普及率などについてグラフを作ってみることにした。
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調査対象母集団の内訳や調査方法の詳細は【自動車は少なめ、そして軽や小型化へ 自動車の世帯普及率】にて記した通り。詳しくはそちらで確認のこと。
●携帯電話は単身者でも生活必需品
二人以上の世帯におけるパソコン普及率は【3/4世帯はパソコン持ってます…パソコン普及率など】、携帯電話については【1世帯2台以上は当たり前?…携帯電話普及率など】で示した通り。それでは単身赴任者や未婚者、年金生活者など様々な理由で単身で生活している人では、携帯電話やパソコンはどれくらい普及しているだろうか。
まずは携帯電話についてだが、40歳代まで普及率は9割を超えている。50歳代になるとやや落ちるが、70歳以上でも5割近くを見せている。やはり離れた場所にいる知人・家族との連絡用や、いざという時のために、携帯電話を持つ人は多い。
↑ 男女・年齢階級別携帯電話普及率(単身者)
【ケータイを使い続けてその代わり、使わなくなった道具のトップは?】にもあるが、携帯電話を電話の主軸器としてとらえ、固定電話そのものを解約する(あるいは元から契約しない)パターンも増えている。多くの人にとって、この「携帯電話普及率」はそのまま「電話普及率」とイコールとなっているのだろう。また、男性よりも女性の方が普及率が高い年齢階層が多いのも、女性が携帯電話好きであることを考えれば、なるほどとうなづける。
●パソコンは30代独身世帯には欠かせないアイテム? 一方独り身の高齢者は…
一方、パソコン普及率は携帯電話よりも興味深い傾向を示している。
↑ 男女・年齢階級別パソコン普及率(単身者)
何よりも「30歳未満」より「30歳代」の方が男性10ポイント強・女性は20ポイント近くも普及率が高いのが目に留まる。パソコンそのものが価格的に高めというのもあるが、20歳代はともかく30歳代になると、パソコンがなければ(独り身では)仕事にも娯楽にも身動きが出来なくなるという実情が見て取れる。
ところが携帯電話と異なり、40歳代以降は急速に普及率が低下する。特に60歳代になると3割強、70歳以上では男性2割強・女性1割強にまで激減する。先の「二世帯以上のパソコン所有台数」、そして「高齢者が他世代世帯と同居せずに高齢者”のみ”で生活する世帯が増えている」と合わせて考えると、別居なり死別なりで独りきりになった高齢者は、二人以上の世帯と比べてパソコンに消極的になる状況が想像できる。
↑ 世帯主の年齢階層別携帯電話所有台数(1000世帯当たり)(再録)
以前【お年寄りのネット嫌い その理由は?】で、お年寄りがインターネットを敬遠する理由として「インターネットを理解できるような場・機会が無く、諦めている感が強い」ことを解説した。独り身の高齢者の場合、その傾向がますます強く、インターネット同様にパソコンそのものについても必要性を感じない、感じても利用を諦めている雰囲気がおぼろげながら見えてくる。
先の記事を掲載した後に「好きでない高齢者に、無理にインターネットを覚えさせる必要は無い」とする意見をいただいた。確かにそれはその通り。しかしそのような思いをしている高齢者がすべてではないし、多くの人は程度の違いはあれど興味関心は抱いているはず。何しろ右を見ても左を見ても、皆が皆、パソコン(や携帯電話)を使ってインターネットをしているのだから。
独り身のお年寄りにいかに心を開いてもらい、パソコンやインターネットに触れてもらうか。それを推し進めることができれば、色々な問題の解決の糸口が見えてきそうな気はする。
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