自動車は少なめ、そして軽や小型化へ 自動車の世帯普及率
2010/08/03 05:21
総務省統計局は2010年7月30日、2009年の全国消費実態調査の結果概要を発表した(【発表ページ】)。これは世帯単位を対象として家計の各種実態を5年毎に調査し、様々な政策の基礎資料として用いるデータ収集のために行われている。今回はそのデータの中から、二人以上の世帯における自動車の世帯普及率やその推移についてデータを抽出し、グラフを生成してみることにした。自動車の種類毎の保有傾向などがつかみとれるはずだ。
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今調査は2009年9-11月(単身世帯は10・11月)に二人以上の世帯は5万2404世帯・単身世帯は4402世帯を対象に行われたもので、基本的に事前に調査票を配布して該当世帯が記入・後に調査員が回収した。一部地域では電子調査票を用い、オンライン回答する方法を「調査世帯が」選べるようにしている。
まずは直近2009年における、二人以上の世帯での自動車普及率。自動車そのものを持っている世帯は85.5%。国産自動車では83.1%・輸入自動車は4.8%(重複世帯あり)と、8割強の世帯が自動車を有していることになる。
↑ 自動車の世帯普及率(2009年、二人以上の世帯)
重複所有している場合もあるので、軽自動車より右の各車種を足すと100%を超してしまうのだが、それを別にしても「軽自動車」や「小型自動車」の普及率が高く、普通自動車の普及率が意外におとなしいことが分かる。またハイブリッド・電気自動車は1.9%。1000世帯単位では19台しか所有が確認できず、また1世帯で複数台保有は無かったので、この値となった。電気自動車はともかく、ハイブリッド車まで含めて世帯普及率1.9%というのは、思ったよりも少ない値。
直近2009年の世帯普及率で軽・小型自動車の値が高いのは、やはり数年来のガソリン価格高騰が起因なのだろうか。そこで主要車種(輸入車、ハイブリッド・電気自動車はごく少数のため比率算出ではぶれが生じるので省略)について、5年前の調査と今調査結果の差異、5年前の調査と10年前の調査の、世帯普及率における差異をそれぞれ算出したものをグラフ化したのが次の図。
↑ 自動車の世帯普及率変移(二人以上の世帯)
まず最初に目に留まるのは、自動車全体の普及率が減少していること。2004年は86.2%・1000世帯当たりの所有数量1446台だったのに対し、2009年では85.5%・1414台となっている。「全国消費実態調査」でも1964年の調査項目採用以来初めての減少であるとして、特筆しているのが気になる。
個別の車種についてみると、元々普通自動車に近い小型自動車は中途半端な扱いを受けていたからか減少傾向にあった。しかしその他の車種は押し並べてプラスを見せていた。軽自動車・ミニサイズの小型自動車に人気が集まっていたのは事実だが、同様に普通自動車にも伸びが見受けられた。
しかし2004年から2009年にかけては軽自動車、及び小型自動車のミニサイズタイプ以外はすべてマイナスとなってしまっている。【軽自動車シェア拡大中・100世帯あたり47.9台に増加】や【新成人がもっとも欲しい自動車は「キューブ」、女性はコンパクトカーがお好き】などにもあるように、景気後退やガソリン価格の高騰で、燃費をはじめとするランニングコストに対する利用者の見る目が厳しくなり、自動車そのものの保有断念や、保有するにしても燃費の良い小型・軽自動車をより強く望むようになった表れといえる。
東京都民に限れば、自動車保有断念の理由の筆頭に「維持管理費の高さ」を挙げているし(【東京都民「自動車要らない」「持つの止めた」理由は?】)、若年層においては(金銭その他の責任に関する)リスクの高さや、自動車そのものの保有に対する魅力の減退が見て取れる(【若年層「自動車無くてもいいヤ」その理由は「責任やリスクは極力避けたい」!?】)。
今後大規模な自動車業界、その周辺の状況変化、そして景気の変動が無い限り、2009年調査において確認された傾向は、5年後にも継続して値として表れるだろう。すなわち、自動車の普及率は下がり、軽自動車・小型自動車の小さいタイプが普及率を伸ばし、それ以外の車種は敬遠されるという具合だ。
自動車の普及率の変化は、日本の社会全体の変化とも受け止められる。昨今の「(特に若年層の)自動車離れ」的な調査結果の数々を裏付けるものとして、今件は注目に値するといえよう。
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