【更新】世代ギャップ 保有意識にも
2010/07/30 12:00
ヤフーバリューインサイトは2010年7月26日、世代間の意識差に関する調査結果の一部を公表した。それによると調査母体においては、モノの所有に関する執着心の点で、世代間で大きな違いがあることが確認された。いわゆる「ブランドもの」や自動車に対するニーズは、最年少層(バブルJr.世代)では他の世代と比べて随分と少ない。一方でそれらの商品と比べて手ごろな価格の、新型デジタル機器への所有願望は若い世代ほど強い傾向が見受けられる([発表リリース])。
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今調査は2010年6月22日から23日にかけて首都圏1都3県に住む15-48歳男女のインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。男女比は1対1、年齢階層比は各世代で均等割り当て。なお世代の区分は今件においては「バブル世代」(1962-1967年生まれ、43-48歳)「氷河期世代」(1971-1975年生まれ、35-39歳)「ゆとり世代」(1985-1990年生まれ、20-25歳)「バブルJr.世代」(1992-1995年生まれ、15-18歳)としている。世代間において、該当しない年齢も存在することに留意が必要。
単純な経年による保有資産の差以外に、人格形成がなされた時代の社会情勢の違い、自分達より上にいる世代の動向など、さまざまな条件によって似たような性向を持つ世代が形成される。特に若年層においては【外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル】や【「買いたい」想いは変わらない・大学生はなぜクルマ離れをしているの?】などにもあるように、デジタル社会の浸透や可処分所得の逓減、インフラの普及、自分達より先に進んでいる「大人たち」への不信感の高まり、将来に対する「希望」の見えにくさなど多種多彩な理由から、社会・環境に応じた「進化」を遂げている(中堅層以降においてはこの「進化」を「マイナス的性向」と受け止める場合が多い)。
今調査ではさまざまな物品について「持ちたい・持ち続けたい」と思うか否かを世代ごとに尋ねている。そのうち「世代間の特徴的な傾向が見られた」3カテゴリのデータが公開されている。
↑ モノ所有意向(持ちたい・持ち続けたい/複数回答)
まず「ブランドもの」。「バブル」から「ゆとり」までの変移はほとんど無く3割足らずと低め。色々と経年で余力のあるはずの「バブル世代」ですらブランドに対する執着心が低下している様子が分かる。そして「バブルJr.世代」のみさらに大きく減退しているが、これは自分自身の年齢がまだ若く、リアリズムに欠けるところがあるのも要因。
「自動車」も「ブランドもの」とほぼ同じだが、ブランドものと違い自動車の場合は、若年層でも将来の取得に向けた憧れ的なものが無いと、財力的に余裕が出てからも購入することは考えにくい。ところが「バブルJr.世代」における所得意欲の低さは、ブランドものとさほど変わりがない。あまりに安易な言い回しだが「若年層の自動車離れ」が当てはまる結果といえる(もっとも今調査が都内居住者を対象としており、自動車の必然性が低いのが一因かもしれない(【免許保有者の自動車所有比率、新成人は75.1%・地方は「自分の車」率も高い】という話もある)。
一方「モバイル機器」に目を向けると、「ブランドもの」「自動車」とは正反対の動きが見える。一様に若年層ほど所有意識は強く、特に「携帯音楽プレイヤー」は世代間の格差が大きい。「バブル世代」と比べて「バブルJr.世代」は2倍以上の値を示している。リリースではこの傾向を「モバイル機器で軽やかにコミュニケーションを交わすイマドキの若者らしい姿が浮かび上がります」と説明しているが、その他に新しいモノに対する好奇心の旺盛さの違い、そして上に示した「進化」(現在の社会に対応すべく自分の姿を変えていく柔軟性の高さ)も大きく関わっていると見てよい。
元々世代間のギャップはどの時代においても存在するものだが、デジタル化の促進による「情報」をとりまく社会環境の激変や、経済上の変化が大きい事もあり、今回の区分対象では際立った結果が出ることになった。これは何も物品に対する所有意識に限らず、(機会を改めて紹介するが)人付き合いや自分自身に対する想いでも、大きな差異が見受けられる。
メディアなどによって半ば意図的に伝えられていない感はあるが、若年層における不信感・不満感、あるいは諦め・失望感の高まりもまた、この「差異」に大きく起因している。単純に「バブル世代」やそれより上の層における「経験則」で現在の若年層を見る、判断していると、彼ら・彼女らの心情を理解できずに判断を繰り返すことになり、遠からず痛いしっぺ返しを受けることになるかもしれない。
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