【更新】BP社事故の原油流出量を色々なモノに例えてみる

2010/07/22 07:11

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原油流出【オバマ政権、メキシコ湾原油流出事故でBP社に6900万ドル請求…今後定期的に経費請求へ】などにもあるようにアメリカ・メキシコ湾で発生したBP社の海底原油採掘現場での事故は、未曾有な原油流出を現在ももたらし続けている。直近では[メキシコ湾の原油流出、新型ふたの試験延長(読売新聞)]にもあるが、事態打開策の一つとして行われている、新型の「フタ」のテストが進行中で、一連の試みが上手くいけば、今夏までには流出はほぼ止められるという話。だがこれまでに流出した原油は総量で1億8200-8400万ガロンという試算がAP社やCNBC.comでなされている。この値を元に、「流出した原油って、具体的にはどれくらいの量なのか」を把握しやすいよう、色々な「身近にあるもの」で例えるという試みが【CNBC.com】で行われた。今回はそれを紹介してみることにしよう。



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1ガロンの牛乳ボトル・ミルクボトル1億8400万本(1本1ガロン=3.78リットルのミルクボトル。並べると約3500平方メートルの面積。1日1本消費したとして、全部飲むのには約50万年かかる)

・オリンピックの公式プール(横幅、深さ)に満たすと、長さが13.84キロメートルになる(縦に279個つなげたくらいの長さ。Michael Phelps氏が記録した世界最高の水泳スピードで2時間ほどかかる)。

・間欠泉で世界的に有名なイエローストーン国立公園の「オールド・フィスフル」で噴出される熱湯の量なら、76日と1時間23分かかる。


↑ イエローストーン国立公園の間欠泉。

・過去の原油流出事件、事故と比較すると……湾岸戦争の時にイラク軍によって意図的になされた原油流出(2億3940万ガロン)と比べると76.4%。1970-1980年に同じくメキシコ湾で起きたIxtoc油田の事故では1億4030万ガロンが流出。これはBP社の現時点の流出量の76%に相当する。

・流出原油が仮に0.4ミリの厚さで海面を敷きつめたならば、1748平方キロメートルの面積になる。これはサンフランシスコ湾のほぼすべてを敷きつめることになる。

・原油をすべてエネルギー換算すると、745万キロワット時に相当。これはアメリカの67万4563世帯の「一年間の」エネルギー消費量に等しい。

タンカートラック・超大型の原油運搬用タンカートラック(9000ガロンを運搬可能)なら運搬には2万0445台が必要。1台21-24メートルの長さで換算すると、輸送隊は総勢495キロメートルの長さになる(※注:日本で例えると東京-京都間)。

・世界最大のドーム球場、「カウボーイズスタジアム」の体積をメキシコ湾全体に例えると、流出した原油そのものの量は680グラムの飲み物1缶分に相当する(0.00000002788%)。

・アメリカ政府によると、世界の確定済みな原油埋蔵量は1.36兆バレル。今回の流出量は埋蔵量の0.000322%に過ぎない。逆算すると、埋蔵量全体分を流出させるには、今回のこれまでの流出分をあと31万0431回起こす必要がある。アメリカ国内の残存量と比較しても0.0209%、サウジアラビアと比較した場合は0.001670%でしかない。

風力発電所・BP社はこれまでに対応へ35億ドルを消費したと発表している。流出した原油価格は合わせて3億3600万ドル分。合わせて約38億ドルを商業用の風力発電所の購入に当てていたら、1930台(1.5mW/台)を購入できた。これは2895mWの発電力を持つことになり、現在世界最大の風力発電所(テキサスのロスコー風力発電所)の4倍の規模になる。

身近なもので例えると多いように思えるし、原油全体量と比べるとまだまだ少ないようにも感じてくる。しかし流出した原油量が膨大なものであることに違いはない。さらに、直接の流出の損失だけでなく、間接的な影響(環境や観光、健康、人的被害その他)は単純に流出した原油の量で推し量ることはできない。

日本では「大した量では無いよね」という論調で報じられることが多い。今件は「現時点で具体的にどのくらいの量になるのか」を知る材料として、読み解くのが良いだろう。あらためてその規模を認識することができるはずだ。



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