否定意見多い中国の商品感想
2010/07/11 07:36
先に【商品レビュー、「愚痴」と「賛美」どちらを書くことが多い?】で、調査会社ニールセンによる「ネット上に書き込む商品体験談は、肯定的・否定的どちらが多いか」を話題として取り上げた。その続報的なプレスリリースがアジア地域に的を絞った形で先日【Social Media Dominates Asia Pacific Internet Usage】として掲載された。なかなかに興味深い内容となっているので、今回はこれにスポットライトを当ててみることにする。
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●中国の商品レビューは否定的意見が多い?
まずは概要として「世界でベスト7なオンラインブランドのうち、Facebook・Wikipedia・YouTubeの3つがソーシャルメディアである」「ネット人口の74%はソーシャルメディアやブログを訪問した経験がある」「ネット利用者はソーシャルメディアなサイトに月平均で6時間来訪している」などのデータが紹介されている。そして以前の記事のテーマ「商品レビュー」に関して、「家族・友人の口コミに続き、三番目の『購入決定の際に信頼できる情報源』としてオンライン上の商品レビューが挙げられている」とした上で、アジア各国の「商品レビューでは愚痴と賛美のどちらを書くことが多いか」についての調査結果が表されている。
↑アジア諸国別・緑が「好意的」、黄色が「否定的」な書き込みが多いと回答した人の割合
具体的な数字は非公開なので詳細までは不明だが、並びが「好意的」が多い国の順になっているところを見ると、商品レビューで好意的な意見を書くことが多いのは「韓国」「日本」「台湾」の順、そしてもっとも否定的な意見が多いのは「中国」であることが分かる。特に中国は上記9か国では唯一、否定的意見が多い人が過半数を超えている(後述するが、具体的には62%)。
【ネットやテレビ、口コミ、どの情報を信頼してお買い物をする? 主要国のメディアの情報源としての重要度】でも触れているが、「これまでのメディアでは為し得なかった、新しい表現手段・不満のはけ口を見つけたことによる現象」の結果による可能性は高い。
●アジア諸国の概況をかいま見る
同リリースではアジア地域のうち、日本・中国・インド・韓国・オーストラリアをピックアップし、インターネット、特にソーシャルメディアに関する動向概要を示している。それをざっと眺めると次の通りとなる(特に言及の無い限りは、該当国内での話)。
・ブログにお熱。月あたり100万件以上のブログ更新は世界最大頻度。
・1年間でツイッターのユニーク利用者(見ている人だけを含む)は急増。昨年は20万人未満だったのが、現在は1000万人以上。
・ネットユーザーの16%はツイッターを利用している。アメリカの10%に匹敵。
■中国
・掲示板システムが盛況。ソーシャルメディアの8割以上は掲示板システム。
・マニア層では情報共有が盛んな一方、新規参入ユーザーにはソーシャルゲームが人気。ソーシャルゲーム内の商品売買は、ソーシャルメディアにおける重要な収益源となりつつある。
・実社会やネット上の有名人の「おっかけ」に関する会話が、チャットでは多数交わされている。
・中国のネット利用者はアジア地域では唯一、商品レビューで否定的意見を書く傾向が強い(全世界平均は41%、中国は62%)。
■インド
Orkut。見た目はFacebookに似てる?
・ツイッターの利用者は爆発的に増加中。利用者の57%は昨年に登録。ソーシャルメディア利用者の32%は少なくとも一日一回はツイッターなとで「つぶやく」。
・オンライン上の商品レビューは、購入者への強い影響力を持つ。レビューを目にした55%が、商品購入に影響を受けたと回答。特に家電機器・耐久消費財に至っては64%に達している。
■韓国
・人口数で比率換算すると、ソーシャルメディアを積極的に使っている国の一つ。ネットユーザーに対する、ソーシャルメディアの代表格Naverの利用率は95%に及ぶ。
・ソーシャルメディアへの集中度はますます加速中。2009年5月までの1年間でツイッターの利用率は1900%の増加。6月の選挙でも大きな影響をもたらした。
■オーストラリア
Linkedin。プライバシー度の高さと利用のしやすさから、ビジネスユースや大人に人気がある
・他の国の傾向と異なり、育児やスポーツのコミュニティに強い関心が集まる。例えば2009年において、これらの項目に該当する掲示板やフォーラムにはネットユーザーの62%が訪れている。
・Linkedlnの利用者数が急増。2009年7月から2010年5月までの間に99%も増加している。
リリースではまとめとして、「全世界のインターネットユーザーの四分の三はすでに何らかのソーシャルメディアに参加している。企業は今や『状況を眺めている』だけなどという悠長な事を語る余裕はない。状況を受け入れ、対応する必要がある」と述べている。国毎に状況が異なることを念頭においた上で、ワールドワイドで危機管理・企業戦略としてのツールとして使わねばならない、ということだろう。
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