6割が自覚する介護者ストレス
2010/07/11 07:32
先に介護者側のストレスの兆候として(海外の事例ながらも)【介護者ストレスの典型的な危険信号とは】を掲載したところ、いくつかの意見をいただくことが出来た。その中でも目に留まったのは「危険信号は分かったが、それでは介護をしている人たちの原因とは何だろうか」というものだった。そこで今回は、日本国内の事例を探してグラフ化を試みることにした。
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介護者側のストレスに関する問題は、公的機関では厚生労働省の「国民生活基礎調査の概要」で調査が行われている。調査そのものは毎年実施されているものの、「介護者側のストレス」周りも含めた「大調査」は3年に1回。直近では【2007年発表の国民生活基礎調査の概況】がもっとも新しいデータとなる。
まずは要介護者が同居している世帯において、介護する側がストレスや悩みを抱えているか否かについて。全体では6割強、男女別では概して女性の方が、ストレス保有者が多い。
↑ 性・年齢階級別にみた同居している主な介護者の悩みやストレスのある者の割合
それ以外の傾向としては、介護する側が若年層、具体的には40代くらいまでの方がストレス度が高い状況が見て取れる。特に40代は7-8割近くが「ストレス・悩みあり」と回答。問題の深刻さがうかがえる。
それでは具体的に、どのような問題を悩み・ストレスの原因として認識しているのか。もっとも多数の人が問題視しているのは、介護している対象の病気や介護そのもの。男性は6割強、女性に至っては7割強の人がこの問題に頭を悩ませている。
↑ 性別にみた同居している主な介護者の悩みやストレスの原因の割合(複数回答)
やはりさしあたって目の前にある問題が、一番のストレスの原因となる、ということだ。
気になるのは第一位の「家族の病気や介護」と比べれば割合は半分以下でしかないが、「自分の病気や介護」が第二位についていること。同調査別項目の結果を見ると、介護する側の34.1%が70歳以上の高齢者で占められている。自分自身の高齢・病気などと物理的・心理的に戦いながら介護を続け、ストレスをためている様子がうかがえる。
【子どもと成人とお年寄りの割合の変化】などのように、高齢者比率が増加する昨今。介護問題は介護される側はもちろんのこと、介護する側にもスポットライトを当て、皆で議論と解決策の模索をしなければならないのはいうまでも無い。
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