ブレーキを踏みたくなる看板
2010/07/15 07:19
交通事故防止を啓蒙する看板は、直接「注意しよう」「スピード出し過ぎるな」のように訴えかけるもの、【運転中のケータイ利用がつくづく怖いものと実感させてくれる広告】や【「飲んだら乗るな」を身体を張って表現したモニュメント】のように「利用してはいけないもの」をイメージさせるものなど、多種多様なものがある。今回紹介するのも、どちらかといえば後者のタイプ。「スピードを出し過ぎる自動車に対し、スピードを計測する」ところまでは通常の「これだけ高速で走っているのだから、スピード出すな」的な看板と同じなの。違うのはその計測データをどのように表示するかの点で、ちょっとひねった仕組みが施されている(【The Inspiration Room】)。
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↑ 制限速度を超したスピードで看板の横を通り抜けると……上から「入院日数」「事故リスク率」「事故った時の被害総額」
これはアメリカ・ウィスコンシン州のエルム・グローブ(Elm Grove)警察署がスピードを出し過ぎる自動車に対しての取り締まりコピー「ゆっくり走った方がいいんだよ(Slower is Better)」を、内容と共に周知させるための看板。スピード違反が相次ぐ道路の脇に、スピードメーターとその結果に連動する電光掲示板付きの看板を用意する。その看板は、法定速度の25mph(時速40キロメートル)を超える自動車が通り過ぎようとする際に、速度に比例した値を表示するという仕組み(恐らくセンサーそのものは看板より手前にあるものと思われる)。
看板に表示されるのは単なる現在のスピードではない。「そのスピードで走ると、事故った時に何日入院しなきゃならなくなるよ」「そのスピードだと事故発生率は何%だよ」「そのスピードで事故を引き起こすと、全部でこれだけ財布からお金が飛んで行くよ」など、具体的な運転手が受けるダメージを表示する。
単に「10mphオーバーです」とスピードの速さしても、リスクに関するイメージはとっさに頭に浮かばない。それよりも「(10mphオーバーだから)事故を起こすと30日も入院しなきゃならなくなるよ」の方が、より強い印象とスピードの怖さを運転手の頭に刻めるというわけだ。
つい出来心で、あるいは知らず知らずのうちにスピードを出していた人には、非常に効果的なメッセージとなるに違いない。ちょっとした工夫で単に速度を表示するよりも何倍の効果を生み出すことができる、センスあるアイディアといえよう。
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