いくらまでなら出せる? 電子書籍の希望価格、四人に一人が選んだのは…

2010/07/02 12:00

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一枚、二枚……[楽天(4755)]と楽天リサーチは2010年6月25日、同社が運営する「楽天ブックス」が実施した電子書籍に関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち電子書籍を利用したい人の大多数は、電子書籍の課金方法について「単品購入」形式を望んでいることが分かった。また、具体的な価格については「201円-300円」を望む人がもっとも多く、買うに値する内容であれば「それなりの金額」を支払う心構えがあることが見てとれる(『発表リリース』)。



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今調査は2010年6月9日から10日にかけて楽天リサーチ登録モニターの中から20-69歳の男女1000人を対象にインターネット経由で行われたもので、男女比は1対1。年齢階層比は10歳区切りで均等割り当て。

調査母体に電子書籍の利用意向を尋ねたところ、利用意向を持つ人は64.3%、持たない人は35.7%となった。そしてそのうち利用意向を持つ人に、「電子書籍を購入する際に、望まれる課金方式」について複数回答で聞いたところ、最多回答項目は「単品購入」となった。実に四分の三の人がこの方式を望んでいる。

↑ 望まれる課金方式(複数回答、電子書籍利用意向ありの人)
↑ 望まれる課金方式(複数回答、電子書籍利用意向ありの人)

一部のデジタル系サービスで普及しつつある「レンタル方式」「月額固定支払い方式」は、電子書籍の分野ではまだ認知が浅く、さらにこれまでの書籍そのものが基本として単品購入のスタイルであったことから、圧倒的に「単品購入」が選択されるのも理解できる。一方、電子書籍でもビデオのようなレンタル的な考え方、というよりはまだ「買い取って自分の財産とする」という見方が強いというとらえ方もできる。

また、例えば「毎月発売されるこの本の、この連載だけを読みたい」というニーズには叶う、そして出版側からはあまり好ましいスタイルとは言えない「記事単位購入」は1割強で、少数派。出版関係者は胸をなでおろしているかもしれない。

それでは課金方式ではなく、課金そのものの金額はどのくらいが良いと考えているだろうか。書籍の内容によって価格も上下するので、一般論として「どれくらいなら買うか」という考え方で答えてもらったところ、最多回答層は「201円-300円」。ついで「101円-200円」となり、「100円-300円」の層で半分近くを占める結果となった。

↑ 電子書籍がいくらであれば購入するか(電子書籍利用意向ありの人)
↑ 電子書籍がいくらであれば購入するか(電子書籍利用意向ありの人)

希望価格帯の分布を良く見ると、「51円-300円」がボリュームゾーンとなっている一方で、「401円-500円」にも少し厚めの回答層が出来ているのが分かる。これは書籍の種類によって払っても良い金額に差異があり、回答者一人ひとりが想定した「買うであろう電子書籍」に違いが出たのが原因と考えられる。いずれにせよ価格的には「コンビニなどで販売されている再販版」クラスの価格、紙ベースの書籍と比べて安価な価格帯が想定されていることに違いは無い。逆にいえば電子書籍ではこの「価格帯ニーズ」にマッチした価格設定がなされなければ、「価格が高いから買わない」と利用者から購入をキャンセルされる可能性が増えることになる。



【「質が良ければお金を払ってもいいかナ」トップは映画、次いで電子書籍】にもあるように、映画や音楽と並び、電子書籍は「質が良ければ、対価に見合う内容のものであれば」有料でも構わないとする意見が多い。しかしながらデジタル化による経費削減もあるため、当然「紙の本と比べて安いもの」が望まれているのも事実であり、それが今回の調査結果からも浮き彫りとなっている。

多種多様な出版社が共通フォーマット、あるいは独自形式で電子書籍を配信し始めてはいる。しかし試行錯誤のためか、それとも旧来の紙媒体での出版のルールを押しきろうとしているからか、電子書籍にも関わらず一般書籍と変わらない価格設定をしているところも見受けられる。「紙媒体の書籍が絶版だから、電子書籍と同じ価格にしても、ニーズがあるに違いない」と考えているかもしれないが、利用者側の視点に立てば「選ばない自由」を選択する可能性が高くなる。価格設定には十分以上に留意しなければならないといえる。


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