「子供が幼いうちは母親は育児に専念すべし」約6割・妻が思う育児と夫婦関係(最新)
2024/06/14 02:33
かつては妻は自宅で家事を行い、夫は就業先で仕事に従事するとの専業スタイルが主だったため、育児も妻が主にすべきであるとの考え方が支配的だった。昨今では兼業主婦の割合が増え、また子供の情操教育の観点から、夫も育児に加わるべしとの声が大きくなりつつある。それでは「妻は子供が幼いうちは仕事に従事せず、育児に専念した方がよい」との考えは、どれぐらいの人が支持しているのだろうか。今回は育児に関する価値観、考え方を中心に、国立社会保障・人口問題研究所が5年おきの定点観測調査の最新版として2022年に調査を実施し、2024年4月26日に報告書を発表した全国家庭動向調査の第7回分の結果から、その現状と経年変化の動向を確認していくことにする(【発表リリース:全国家庭動向調査】)。
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今調査の調査要項は先行記事の【夫婦別姓賛成派、夫がいる妻では賛成派6割強(最新)】を参考のこと。
冒頭でも触れた通り、一般的な家庭では、夫が主に家計を金銭面で支えている一方、主婦もパートなどで兼業主婦として後押しをしながら家事を行っているパターンが多い。これは【仕事ありの母親は3/4強・2001年比で23.2%ポイント増…末子の年齢別「仕事ありの母親の割合」(最新)】や【1000万世帯を超えなお増加中…共働き世帯の現状(最新)】、そして今調査の別項目に関する記事で、これまでにお伝えした通り。しかし妻が常勤の仕事をしていても、多くの家事を担っている状況が確認されている。
↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2022年)(再録)
それでは各種前提を抜きにして、妻の立場から(今件調査は女性が回答している)「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」と考えているのだろうか。この意見については直近では8割以上が賛成意見を述べている。
↑ 夫も家事や育児を平等に分担すべきだ
1993年では7割強だった賛成派が漸増し、直近の結果では9割を目前にするところまで達している。主婦の意識として「家事・育児平等分担論」はより強く浸透しつつあると考えてよい。もっとも「平等に分担」が具体的にどのような分担を意味しているのかは回答者の思惑次第であり(質問票では単に「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」とのみ表記)、また夫がいかなる考えを持っているのかまでは、今調査では分からない。
一方、幼子がいる世帯では母親は育児に専念すべき(&仕事は持つべきではない)とする意見は、多少の波があるものの9割近い値を維持していたが、2013年以降は賛成派が漸減し、直近の2022年では6割強にとどまる形となっている。
↑ 子供が3歳くらいまでは母親は育児に専念すべき
2013年以降の賛成派の減少は、強い賛意を示す「まったく賛成」の値が減少しているのが主な原因。その分、「どちらかといえば反対」「まったく反対」が漸増している。【仕事ありの母親は3/4強・2001年比で23.2%ポイント増…末子の年齢別「仕事ありの母親の割合」(最新)】にもあるように、ゼロ歳児がいる世帯でも、半分以上は母親が仕事をしているのが現状であり、賛成派の漸減は当然の結果かもしれない。
↑ 仕事ありの母の割合(児童あり世帯比、「母の仕事の有り無し不詳」は含まず、末子の年齢階層別)(再録)
6割強の賛成派の意見は見方を変えれば、「子供が3歳くらいに成長するまでは、妻が働きに出なくてもすむよう、夫の収入が安定して高いレベルのものであって欲しい」あるいは「収入を補助してくれるような制度の存在が望ましい」との主婦たちの願いが表れているとも考えられる。一部企業や自治体で行われているような、高額の出産手当もその解決策の一つだろう。
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