「妻は主婦業に専念しなくてもいい」と思う妻は7割強、でも「夫は会社の仕事を優先すべき」には6割近く(最新)
2024/06/15 02:39
可処分所得の減少、就業や子育てにおける価値観の変化から、専業主婦の比率は少しずつ減り、兼業主婦は増加の一歩をたどっている。一方、多くの世帯で就業をして家計を支える大黒柱となるのは夫であり、仕事と育児・家事との兼ね合い、優先順位に頭を抱えることになる。それでは妻の立場にある人達は、夫の就業の優先度をどのように考えているのだろうか。妻の主婦業と夫の就業に関する妻側の考え方について、国立社会保障・人口問題研究所が5年おきの定点観測調査の最新版として2022年に調査を実施し、2024年4月26日に報告書を発表した全国家庭動向調査の第7回分の結果から、探りを入れていくことにする(【発表リリース:全国家庭動向調査】)。
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今調査の調査要項は先行記事の【夫婦別姓賛成派、夫がいる妻では賛成派6割強(最新)】を参考のこと。
夫婦ともに就業する、いわゆる「共働き」の世帯が増えていることは【仕事ありの母親は3/4強・2001年比で23.2%ポイント増…末子の年齢別「仕事ありの母親の割合」(最新)】や【1000万世帯を超えなお増加中…共働き世帯の現状(最新)】でお伝えした通り。それでは妻の立場から(今件調査は配偶者がいる女性、つまり妻が回答している)、「夫は外で働いて世帯を収入面で支え、妻は主婦業に専念すべし(=妻は専業主婦であるべし)」と考えている人はどれくらいいるのだろうか。直近結果では賛成派は29.5%となり、「そうだとは限らない、専業主婦でなくてもいいではないか」とする反対派は7割を超えて70.5%となった。
↑ 夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべき
前世紀までは専業主婦賛成派が過半数を占めていたものの、今世紀に入ってからややぶれが生じているが、専業主婦反対派が増加の動きを示している。何より「まったく反対」とする回答率が直近では2割強に達しているのが興味深い。冒頭でも触れた家事や子育て、就業に対する価値観の変化、実情として主婦業専念が難しい環境にあることなどを受け、理想論・願望レベルでも考え方に変化が生じているのかもしれない。
妻が兼業主婦として家庭と家事・育児の双方に携わる場合、夫が会社の仕事だけを優先していたのでは、夫婦間の対立や断絶、家事・育児の負担問題が生じる可能性がある。そこで「(共働き世帯が多数を占める昨今ではあるが、それでも基本的に)夫は会社の仕事を優先すべきだ」とする意見に対して、妻はどのような感想を持つか尋ねたのが次の結果。6割近くが「夫は仕事を優先すべき」との賛成派で占められることになった。
↑ 夫は、会社の仕事を優先すべき
強い賛成を示す「まったく賛成」はほぼ漸減する一方で、弱い賛成意見「どちらかといえば賛成」が減った分を補う形となり、賛成派はほぼ変わらない状況だった。しかし2018年以降は「どちらかといえば賛成」も減り、賛成派は減少を示す形となった(直近2022年では「どちらかといえば賛成」は増えているが)。
直上の「夫は外で働き、妻は主婦業に専念」に関する結果で「妻も働いてもいいのではないか」とする意見が時代の流れとともに漸増するのに合わせて、それと相反しうる「夫は会社の仕事を優先すべきだ」の意見への賛意が減ったのかもしれない。ただし両者の減り方に違いがあるのは興味深いところではある。夫としては「夫も妻の主婦業を助けるような家事分担を担うべきととの意見が増えているのに、会社の仕事は優先すべきだとの意見はほとんど変わっていないとなれば、どのように時間をねん出すればいいのか」と悩んでしまうかもしれない。
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