若者は「ありがとう」の一言がうれしい、高齢層は……?
2010/06/20 12:22
[電通(4324)]は2010年6月16日、社会貢献に関する生活者意識調査の結果を発表した。それによると調査母体においては、「他人や社会のために役立つ行動」をした時の気持ちについてもっとも多くの人が同意を示した選択肢は、「困っている人が助かることが嬉しい」だった。一方年齢階層別に見ると10代では「ありがとうの一言や他人から感謝されることが嬉しい」というストレートな謝意に喜びを感じるのに対し、高齢者は「社会の役に立てることが嬉しい」の選択肢に多くの同意が見られ、責務を果たした達成感による満足が強いようだ(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2010年3月に16-55歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は非公開、年齢階層比は10代75人・20代170人・30代217人・40代199人・50-55歳124人。
例えば募金やボランティア活動、慈善行為としてのバザーへの出品、さらにはWikipediaのように皆の善意で成立する社会システムへの参加など、他人や社会のために役立つと思われる行動への参加機会はどこにでも存在している。それらの行動をしたいと考えた動機・意識については、最上位には「困っている人を助けたい」がトップについている。
↑ 他人や社会のために役立つ行動をした動機・上位五位(再録)
それでは社会貢献活動をした後の気持ちはどのようなものだろうか。終わった後の達成感の内容次第で、次に同じような場面に遭遇した際のやる気、動機への力強さも変わってくるはず。トップには「困っている人が助かることが嬉しい」がつき、4割以上の人がこの嬉しさを感じると回答した。
↑ 他人や社会のために役立つ行動をした時の気持ち(上位五位)
続く選択肢としては「『ありがとう』の一言や他人から感謝されることが嬉しい」という、直接的な反応に喜びを感じるというもの。こちらも4割近い同意が得られている。
これを年齢階層別にみると、世代ごとの「社会貢献をした後の気持ちの違い」が見て取れる。
↑ 他人や社会のために役立つ行動をした時の気持ち(上位五位)(年齢階層別)
トップの「困っている人が助かることが嬉しい」はすべての世代で高い割合を示しているが、第二位と第三位では世代間の格差が大きく表れている。つまり、
・高齢層……社会に役立てたという責任感、責務の達成に対する満足感に喜びを感じる
という違いが見られる。とりわけ10代は「ありがとう」の言葉や感謝を受けることが、一番強い喜びを感じるという結果が出ているのが特徴的だ。
視点を変えて上「相手の反応」で上位三項目を見直すと
・「『ありがとう』の一言や他人から感謝されることが嬉しい」……相手から直接反応があり、確実に「助けられた」ことを確認できる
・「社会の役に立てることが嬉しい」……「助かった」状態は確認しているが、それよりも「そのような行為をすべき」という責務を果たした気持ちの方が強い
となり、相手へのアクションに成果・意義があったのかどうかを、確認できる度合いに差があるのが分かる。若年層の場合は社会経験がまだ浅いため、本当に役だったのかどうかが不安で、だからこそ確実な反応があって初めて大きな喜びを感じる。一方で高齢者は「そのような行為が社会全体にプラスとなる」ことを経験則・教育から学んでおり、相手のリアクションは若年層ほど求めていない(言い換えれば独善的という言葉が当てはまるか)。
いずれが正しく、間違っているということは無い。しかし例えば若年層に対しては「積極的に謝意を示した方が理解してもらいやすい」というように、受け取り方の違いを知っておく必要はある。「暗黙の了解」は相手がそのことを知っている時に初めて有効になる(今件なら「社会貢献活動は社会の役に立つ」)のであり、すべての人に有効というわけではないのである。
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