お年寄りの気持ちが良く分かるお役所の広告

2010/06/16 06:34

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野鳩ってレベルじゃないぞ【バリアフリー、普及率は約半分。アパート・マンション少々低めか】などで解説しているように、高齢者の増加と共に住宅内で事故を起こさないように配慮した、あるいはサポートする仕組み「バリアフリー」が浸透・普及しつつある。例えば階段の上り下りのように、若年層には何の他愛もない障壁でも、高齢者には大変ハードな場面な場合が多々あるからだ。また室内の施設に限らず、多くの人が何気なくこなしている行動も、高齢者には難儀することが多い。イタリアの自治体の一つSienaで展開されたポスターは、それら「高齢者が遭遇しうるトラブルは見た目以上に大変な事」「高齢者が日常生活の行動でも第三者が見ている以上に労力を費やしている事実」を、高齢者以外にも容易に分かるようにと工夫したものだ(I Believe in Advertising)。



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↑ ゴミ出しも普通の人なら難なく階段を降りてさくっと捨ててこれるけど……
↑ ゴミ出しも普通の人なら難なく階段を降りてさくっと捨ててこれるけど……

これはSienaの自治体がお年寄りやその周辺の人たち、そして社会全体にお年寄りの実情をもっと知ってもらうために作ったポスター。キャッチコピーは「何かお困りですか」「あなたにとっては小さな問題かもしれないけど、お年寄りには大変に思えるかもしれません。何かお困りなことがありましたら、当局までお気軽にご連絡ください」というもの。日常生活で身近な場面でもお年寄りがいかに苦労しているかを、相対的な表現で見せている(つまり若者がこれくらい大きなゴミ袋を運ぶ時の苦労と同じほど、お年寄りは普通のゴミ袋の持ち運びでも難儀しているということ)。

当局が創ったポスターは他にも2種類あるが、いずれも「なるほど、これは確かに大変そうだ」というのが分かるもの。

↑ お医者さんからもらった錠剤も、飲み込む力が衰えているお年寄りにとってはこれほどの大きさ……いや、これはさすがに少々オーバー(汗)
↑ お医者さんからもらった錠剤も、飲み込む力が衰えているお年寄りにとってはこれほどの大きさ……いや、これはさすがに少々オーバー(汗)

↑ 窓から台所に侵入しようとする野鳩。お年寄りにとってはまさに怪物レベルな難儀さを覚える
↑ 窓から台所に侵入しようとする野鳩。お年寄りにとってはまさに怪物レベルな難儀さを覚える

経年による身体能力の衰えで、相対的に日常生活の行動一つひとつに大きな負荷を覚えるようになるのは当然の話。しかし理屈は理解できても、自分自身が体験していないがためにそれを認識して、判断に活かすのは難しい。その事実を思い起こすと、今件の3つのポスターは「お年寄りの気持ち」が非常によく分かる、理解納得させてくれる、優れた表現方法といえよう。

なお余談ではあるが、「お年寄りが日常生活の何気ない行動でも苦労している現実」は、対象となる物事を相対的にかさ上げ・巨大化する他に、自身の身体能力を制限することでも疑似体験することができる。有名どころでは【東京ガス新宿ショールームの高齢者疑似体験プログラム「シニアシミュレーション」】が筆頭に挙げられる。体験そのものは電話予約制・無料で出来るので、機会がある人は是非一度試して欲しい。このポスター同様に、大きな印象と理解、そして納得を得られるはずだ。



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