【更新】11年分の民間マンション発売戸数と平均単価

2010/06/13 06:40

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マンション当サイトでは多種多様なリリースや発表データを元に分析、あるいはグラフの生成と検証を行い、記事として掲載している。多くの情報元は単発ものだが、中には定期的に更新され、それが有益な内容であるものも少なくない。書き手本人がそのデータ更新に気が付かず、後になって読者や他サイトの引用で気づかされることも多い。今件もその類で、1年強前に掲載した【10年間のマンション発売戸数と平均単価】の更新版。リリースそのものは[2010年2月22日に公開されている(PDF)]ものである。



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発表資料によると民間マンションの2009年の発売戸数は7万9595戸と、前年に比べて18.8%も減少、17年ぶりに8万戸を割り込む形となった。一方で平均価格は3802万円で、これは前年比で2.5%の減少となった。同発表資料では2000年以降の年間発売戸数と平均発売価格が公開されていることもあり、前回記事の1999年以降のものとデータを合わせ、グラフ化を行う。

まずはマンション販売戸数推移。首都圏・近畿圏・その他、そして全国の合計値について。次のも合わせ、前年のグラフと生成ソフトが変わっているので見た目にも変化が生じている。しかし中身は同じ。

↑ 民間マンション発売戸数推移
↑ 民間マンション発売戸数推移

発売戸数そのものは、実は「不動産プチバブル」時期にも大きくプラスに転じていたわけではない。首都圏・近畿圏ではほぼ横ばいに推移し、その他が 2005年から1、2年増えているところを見ると、大都市圏そのものではなくその周辺地域で発売物件数が増加していたことが把握できる。

一方で首都圏では2005年から、近畿圏でも2006年あたりから早くも発売戸数の減少が見られ、それに伴い全国数も減少。2007年以降は雪なだれ式にその数を減らしている。特に2006年以降の急落カーブぶりには、急速に供給数が落ち込んでいるようすが手に取るように分かる。2009年はややその落ち込みスピードがゆるやかになった感はあるものの、減少傾向を続けていることに違いは無い。

続いて販売価格推移。

↑ 民間マンション発売価格推移(万円)
↑ 民間マンション発売価格推移(万円)

発売戸数がしばらくは横ばいで、この数年間は下落の一途をたどっていたのに対し、それとはまったく関係の無いかのような形のグラフが形成されている。元々マンションは高額商品なだけに(大抵は一生、あるいは半生をかけてローンを支払っていくものだ)、年間で10%も20%も上下されては困るのだが、それでも2007年は7.1%も上昇していた。2008年は2.3%と上昇率が落ちたが、それでもまだ全国平均では上昇しているのが分かる。

「このまま上昇を続けるのでは」とも思われたが、需給バランスを鑑みて高値維持は難しいようで、2009年はさすがに下落傾向を見せている。昨年「首都圏では多摩23区以外はすべて平均価格が下落(例えば23区内の下落率は3.1%)など、直近のバブルで高額過ぎた雰囲気のある地域、周辺地域の冷え込みが厳しい場所における価格下落が目立つ」としたが、その状況が全般的に浸透し、全体の下落として数字に反映された形だ。

【今が住宅お買い得? 「まだまだ安くなる」は4割に達する】【7割が「まだまだ下がるネ」購入希望者側から見たマンション価格の動向】にもあるように、現時点のマンション価格は「売り手の売りたい価格」「買い手の買いたい価格」のかい離が大きいままで推移している。多少スピードは緩やかになったものの、戸数的に供給過多で供給側が数を絞ってでも在庫を減らしたい状況を考えるに、今しばらくは発売戸数の減少は続くに違いない。一方で【2010年4月の新設住宅戸数、前年同月比0.6%増】にもあるように、在庫調整という点ではそろそろ終わりが近づいてきた雰囲気もある。

今後販売個数・販売価格は需給のバランス調整の過渡期を迎え、微妙な動きを見せるものと思われる。さらに(大きく後退しかねない)景気動向というパラメータが加わり、先を読むのは難しい。このままでいけば2010年は「販売個数は横ばいかやや減少」「販売価格は減少気味」となるはずではあるが、実際はどうなるだろうか。来年の2月末あたりに発表される、更新データを待ち望みたい。



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