ラジオは日中点け放し、新聞は朝食時…? 男性シニア層のラジオ・新聞・雑誌の利用率
2010/05/25 12:00
メディア環境研究所は2010年4月21日、定年退職後の男性(60代男性)の生活パターンとメディアとの接触傾向に関する調査結果「60代男性:メディア&生活時間帯調査」の抜粋版を発表した。それによると調査母体においては、いわゆる4大メディア「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」のうち「テレビ」を除いた3メディアの利用率はそれほど高く無く、新聞が朝方に10%超え・ラジオが日中10%前後を維持する以外は、概して低い状態にあることが分かった(【発表リリース】)。
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今調査は2010年1月28日から2月3日にかけて首都圏の60-69歳の男性に対して郵送による日記調査方式で行われたもので、有効回答数は433人分(有効回収率66.3%)。フルタイム勤務者は44.8%・時間勤務者7.6%・日短勤務13.6%・その他8.0%・無職27.9%。69歳に限っても無職は47.8%で、何らかの形で就労している人が52.2%に及んでいる。
今リリースでは調査母体が各主要メディアに接した・利用した頻度を30分おきのグラフ(データ取得は10分単位のため、実際の動向とは多少のずれが生じている)で、平日・土曜日・日曜の3パターンにて掲載している。計測値はさらに就労形態別のものを収録。概要的には平日と土日の差異はあまり見受けられないので、今回は平日における4大メディア、すなわち「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」のうち、もっとも市場規模の大きい「テレビ」を除いた残り3メディアの利用頻度グラフを再構築する。男性シニア層がどの程度の割合でこれらのメディアを利用しているか、一つの指針となるはず。
まずは非紙媒体として「テレビ」と相並ぶ「ラジオ」。
↑ ラジオ視聴(平日)
縦軸の区切りが2%単位であることから、ラジオ視聴者そのものがさほど多くないことが分かる。また視聴率そのものは朝方から大きく跳ね上がり7時過ぎにはほぼ10%に達し、以後は食事時に少々落ちを見せるものの10%前後を維持し続ける。そして夕食前になだらかな減少を見せ、あとは低迷を続ける。
これらの傾向から、「ラジオを視聴する人は朝一でスイッチをオンにし、あとは日中はずっとスイッチを入れたまま。夕食前にスイッチを切る」という利用スタイルであることが想像できる。いわば「ながら族」的な使い方、BGM的な活用法というわけだ。夕食以降のリラックスタイムはテレビに注力するため、ラジオが再びつけられることは無いのも納得がいく(テレビを観ながらラジオを聴くのは難しい)。
続いて紙メディアの雄たる新聞。
↑ 新聞閲覧(平日)
最大時間帯で16%強の値を見せている。同調査で朝食のボリュームゾーンは6時-9時であることが判明しているので、朝食がてらに新聞を読むという、ありがちな購読スタイルをとっていることが容易に想像できる。
興味深いのは昼食時にはほとんど変化は無く、夕食時直前に値が跳ね上がる場面があること。夕食のボリュームゾーンは18時-20時であり、夕刊の配達時間と合わせて考えると、「届いた夕刊を一読しながら夕食を待つ」形であることが分かる。
最後に雑誌や書籍。
↑ 雑誌・書籍閲覧(平日)
まず気がつくのは、縦軸の区分の小ささ。0.5%単位で、最大時間帯でも4.0%に届かない。一方、昼食や夕食時に多少落ち込みを見せるが起きている時間帯はほぼ平坦な動きを見せており、「書籍や雑誌を読む人は、時間を見つけて積極的に読んでいる」ことが想像できる(ただしあくまでも少数派だが)。【若年層の「新聞離れ」は「活字離れ」と無関係】という話や、インターネット関連は高齢者の方が疎遠であることを考えると、むしろ「文字離れ」という表現は若年層ではなく高齢者の方が適切ではないかとすら思えてならない。
せっかくなので4大メディアの利用頻度をすべて一つのグラフにまとめてみた。
↑ 4大メディア利用(平日)
いくつかの行動パターンが読みとれるので、箇条書きにしてみる。
・日中はラジオを聴く人はつけっぱなし
・お昼時は再びテレビをオンに
・夕食前にラジオを切り、夕刊を読み終える
・夕食時にはテレビを見て、後は就寝時までずっとテレビを観続ける
特に夕食後のテレビ視聴は圧倒的で、他のメディア利用頻度がほとんど確認できないことから、「ながら視聴」すらせずにテレビに首ったけ状態であることが分かる。言い換えればシニア層の社会生活や意識に、テレビが大きく影響していることが改めて理解できるというものだ。
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