主要テレビ局銘柄の直近決算(2010年3月期)…(1)業績概要
2010/05/16 19:30


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まずは主事業である放送事業を支える「売上」こと「テレビ広告」について。これは主に「番組提供のタイム広告」と「番組と番組の間のスポット広告」に分かれている。図式化するとこのような形になる。

タイム広告とスポット広告(再録)
詳しい解説は【2010年3月期におけるキー局銘柄の第1四半期決算…(1)「キー局」と「スポット広告」「タイム広告」】でしてあるので、そちらに目を通して欲しい。昨年までは「スポット広告の減少が著しい」がテレビ各局の短信に共通したフレーズであったことは記憶に新しい。
さて業績概要だが、極めて興味深い結果となった。

キー局の2010年3月期業績(前年比)

キー局の2010年3月期業績(前年比)(棒グラフ化)
フジ・メディアHDがかろうじて売上をプラス化しているが、これは主に生活情報事業や広告事業など、サブの事業によるもの。しかも売上は上げても利益には結び付かず(両事業とも損失を出している)、財務成績的にはネガティブ。
経常・純利益においてざっと見直すと、
・マイナス……TBS、フジメディアHD
の二極化が起きている(TBSが100%を超えるマイナスを純利益で計上しているが、これは去年が16億5500万円の黒字、今年が23億1300万円の赤字を出したため)。これは中間期と変わらない。プラスを示した3社の上昇「率」が100%を超えた勢いの良い状態なのは、いずれも前年同期が小さな額、あるいはマイナスだったことに起因する。
この3社が他社同様に売り上げを落としているにも関わらず、利益を大きく上昇させているのは、ひとえに収益率(売上高営業利益率)を大きく改善させたことが原因。要は「売り上げの減少分以上に経費を削って、「『売上』-『経費』」で導かれる『利益』を増やした」計算になる。

主要5局の2010年3月期における放送事業営業利益(億円)

主要5局の2010年3月期における放送事業営業利益前年比

主要5局の2010年3月期における放送事業営業利益率
TBSの利益増加率が異様なマイナス値になっているが、これは前年がマイナス15億0700万円・今年がマイナス103億7500万円と、マイナス値を大きくかさ上げしたため(そのまま通常の計算式に代入するとプラス値になってしまうため、グラフ注記にあるように今年の金額の符号に調整してある)。
日本テレビ放送網とテレビ東京は前年から全社を挙げて経費削減を旗印に大立ち回りをしており、その効果が「財務」業績上に表れている形となっている。また、中間期と比較するとテレビ朝日の努力ぶりが目に留まる。具体的に短信コメントでも
・番組制作費についてはコスト構造を見直すとともに、選択と集中を進め、経費についても徹底的な削減を実施しております。視聴率を獲ることはもとより、それを活用し、収益の拡大に重点をおいた編成構造の変革も行っております。アニメ事業、映画事業、クロスメディア展開、コンテンツ事業などについても、最適な体制への組織の再編を行い、これまで以上に収益を重視し、他社との協業事業にも積極的に取り組んでおります。
とあり、視聴率の確保と経費を大幅に削ったことが言及されている。
(続く)
■一連の記事
【主要テレビ局銘柄の直近決算(2010年3月期)…(1)業績概要】
【主要テレビ局銘柄の直近決算(2010年3月期)…(2)各社業績斜め読み】
【主要テレビ局銘柄の直近決算(2010年3月期)…(3)今や広告費の話題はスポット広告からタイム広告へ】
【主要テレビ局銘柄の直近決算(2010年3月期)…(4)放送事業で赤字を出したTBS社と利益が気になる日本テレビ、そしてまとめ】
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