【更新】さらに高速に、さらなる悪路もOKに・進化継続中なロボットらばBigDog
2010/04/26 06:50
以前【ロボットらばBigDog、四足で山道を駆け登る】で紹介した、軍事目的用輸送四足走行ロボット「BigDog」。まるでSF映画にでも出てきそうな体裁とその軽快な歩みに、【やはり登場、BigDogにあこがれるゆかいな仲間たち】などのようなパロディ動画まで登場するほどの大人気ぶり。その「BigDog」が今もなお随時改良・パワーアップ中で、進化を続けていたことが分かった。
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↑ 以前紹介した際の動画。Boston Dynamics Big Dog (new video March 2008)。
↑ こちらが最新の動画。大勢は変わらないが、後半部分がいくつか新しいシーンにさし変わっている。BigDog Overview (Updated March 2010) 。
正式名「BigDog」は直訳すると「大型犬」。【the Boston Dynamics】が開発している軍事目的用輸送ロボット。要は馬やロバのように荷物を運ぶ役割をこのロボットに担わせるのが目的。
「BigDog」はガソリンエンジンを動力とし、水圧式の駆動システムを装備。全長1メートル、高さ0.7メートル、そして重さは75キロほどのスペックを持つ。最新の動画では積載可能重量は400ポンド(181キログラム)とある。
↑ 荷物を運ばせている様子
BigDogには移動を制御するコンピュータやサーボ、センサー、ジャイロスコープなど各種「正常な移動を続けるため」の機能を搭載。どんな状況下においてもバランスを取り続け、指示された行動を続けるオートバランサーが働いている。当然内燃機関の調整(水圧やエンジン温度、バッテリーの残存量など)も別途行なわれているあたりは、通常の自動車などと変わらない。基本は遠隔操作だが、単純な歩行ルートなら放置していても良いらしい。
Boston DynamicsではこのBigDogに対し、「人間や動物が足を運べる地球のどんな起伏のある場所でも、問題なく移動が可能なロボットを作る」という使命を与えている。そしてこの研究開発においてはアメリカ国防総省高等研究計画局(DARPA)から資金援助を受けているとのこと。
今回の動画で以前の時と差し替わった点は大きく2つ。まず1点は「泥沼の中の走行が可能になった」こと。
↑ 足をとらわれやすい泥の中でもウィンウィンと音を奏でながら走行
雨の中、泥だろけになった山中では非常に足をとらわれやすく、コケることもしばしば。機会は滅多にないが、体験したことのある人なら十分に理解できるはず。そのような悪路でも、BIgDogは難なく走っている。
そしてもう一つは移動速度の向上。以前紹介した時には4mph(時速6.5キロ)としていたが、今回の動画では5mph(時速8.0キロ)と、1mphほどの高速化を果たしていた。
↑ 移動速度は5mphに向上
ある人が「飛脚走り」と表現していたが、まさに飛脚、あるいは大名行列で大名が乗る籠(かご)のような走りを見せている。
さらに「悪路走行」についてだが、先日公開された別動画によると、海辺での走行も問題ないことが確認された。
↑ ビーチをひた走るBigDog。BigDog Beach'n。
BigDogが無人の砂浜をあの機械音と共に黙々と走るという、非常にシュールな動画。だがその違和感と共に、人間ですら足をとらわれやすい砂地を難なく走れるその性能には驚きを隠しきれない。
以前の記事で「『スターウォーズ』に登場するSnow Walker(スノーウォーカー)のようだ」と評したが、まさにそれにさらに一歩近づいた感が強い。ランニングコストや導入費用、耐久性など問題となる点はまだ多いが、まずは「技術的に可能か否か」を実機で実証できることこそが大切。その点では汎用性の高さと共に、非常に期待が持てる技術といえる。何なら(軍用が主目的だが)追加の使い道は出来上がってから考えても良い……それくらい良く出来ている。
こういった(良い意味での)変態芸的技術については日本がお得意技としていただけに、BigDogが日本製でないことがつくづく残念。そして似たようなものを生み出す芽が、一部の心ない大人たちによって次々と摘み取られていく様子を見るのは、とてもとても悲しいものだ。
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